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二重譲渡って…

一つのものを2人の人に譲渡してしまうことを二重譲渡といいますよね。民法の物権変動のところで必ず出てくる話なのですけど、実は勉強を始めた最初の頃からここはあまりスッキリしないところなのです。というのも、何故二重譲渡が可能なのか?と思ってしまうからです。結構最初の方で躓いているのだなぁ^^;

 

売主Aさんと買主Bさんが土地の売買契約を結んだとしましょう。で、AB間の売買の後、AさんがさらにCさんにもその土地を売ったとすると、同じ土地がAさんからBさん、AさんからCさんへと二重に譲渡された状態になります。土地など不動産の物権変動は登記が対抗要件であり、こういう場合は先に登記した方が勝つのだということは、どんなテキストでも民法の基本中の基本として解説されていることと思います。

でも、所有権が移転するのはいつかを考えてみると、まずAさんとBさんが売買の意思表示をしたときのはずです。この時点で所有権はAさんからBさんに移転していて、その後のAさんは土地について何の権利もないのです。そのAさんから土地を買ったというCさんは、Aさんから何を得ることができるのでしょう? AさんとCさんが売買契約を結んだ時点では既にAさんは無権利者なんですから、Cさんは所有権なんて得られないはず、と考えるのが自然じゃないですか?

 

実は2020年の行政書士試験の記述問題で、まさにこの話が出題されたのです。上記の例のCさんが背信的悪意者で、善意の転得者Dさんに土地を譲渡して登記も移したというケースで、所有権をDさんに譲渡したCさんが無権利者でないと言えるのはなぜか、ということが問われたのでした。なぜと言われても…そういうことになっているから、としか答えようがないですよね。だって自分の考えでは、AC間の売買が行われた時点でAさんは無権利者なのであり、従ってCさんも無権利者のはずなんですから。それなのに現実の社会でCさんが無権利ではなく所有権取得が認められているのは、ロジックを無視して“そういうことにしたから”としか考えられません。…まあでも40字ほどの解答欄にこんなことを書き連ねるわけにはいかないので、AC間の売買は有効だから~、みたいなことを書いた気がします。得点できないと困りますしね^^;

 

調べてみると、ここはいろいろな学説があって盛んに議論されているという状況で、上記の自分の考えと同じことを唱える説もあるそうです。しかし判例は、確かに意思表示の時点で所有権が移転するけど、登記を備えるまでは外部から見た人には移転したって分からないから、上の例でのAさんは完全な無権利者ってわけではないんだ、だからBさんへ譲渡した後であってもCさんに有効に譲渡ができるのだ!と言ってます。そして民法のテキストも試験問題もコレを前提にしているわけですね。何となく奥歯に物が挟まったようなというか、煙に巻かれているというか、スッキリしないですよねぇ。…でも改めて考えてみると、Cさんが背信的悪意者ではなく普通の善意の買主だとしたら、何らかの保護する手立てが必要なんですかねぇ…う〜ん。まあ試験対策としては「先に登記を備えた方が優先します!」と答えますけど(笑)