根抵当権の不思議
お金を借りるとき、不動産を担保に取る方法といったら抵当権ですね。これは銀行で住宅ローンを組む場合に誰でも関わる話で知っている人は多いと思うのですが、さらに不特定の債権を担保できる「根抵当権」というものがあるのだということは、自分は資格を取るための勉強を始めてから知りました。実業界のニーズに応じて整備されたというだけあって抵当権よりも自由度が高く、イメージとしては債権を入れておく“箱”と説明されますよね。何しろ元本が確定するまでは担保する債権が特定されないし、極度額も債権の範囲も債務者も確定期日も変更可能。設定当時と大きく状況が変わっても、それに合わせて都合良く箱の形を変えられるというわけなのです。
しかし、自由度が高いということは、それだけ複雑に見えやすいというか、便利なんだろうけどイメージを掴んで使いこなすまでが大変というか。試験を受ける立場からすると「根抵当権は難しい」と感じられてしまいます。抵当権でさえ実際に自分に関係してくるのは家を買うときくらいなのに、根抵当権なんていったら本当に使われているんだろうかと思うくらい縁遠いものですし。
▼これは自分の勉強不足でしかないのですが、累積式根抵当と共同根抵当の違いが分かりにくいです。少し調べてみたら、たとえば2つの不動産を担保に取る場合、設定後に不動産価格の変動が見込まれるときは共同根抵当の方がリスクが小さい(ことが多い)、土地とその上の建物のように通常一体で取引されるものは共同根抵当の方が良いことが多い、一方で累積式根抵当はあくまでも2つの別々の根抵当権だからその後の変更や処分が自由にできる、遠隔地にある不動産同士には累積式が適する場合が多い、といった特徴があるそうですね。と言われても、やっぱり実務経験がないとイメージ湧かないです^^;
▼これも単に勉強不足なだけですけど、元本の確定事由が何とも…。正解を見て初めて「あ~、これ元本確定事由だった!」と気付いたときの騙された感はたまらないですね(笑) 競売や差押えなんかの裁判所絡みのものは、やっぱりイメージが掴めないというか、何をしているのか想像も付かなくて記憶の取っかかりがありません。それと併せて元本が確定したことを登記すべきかどうかも混乱します。債務者が破産したら元本確定するとか、差押えが入ったら確定するとか、指定債務者の合意の登記をしないまま6ヶ月経過したら確定するとか、テキストを読んだその時は、ああそうか、と思いますけど、これが択一問題の選択肢の中に紛れ込んでいたり、資料中の登記記録にさりげなく入っていたりすると見落としがちです。問題を何度もやり込んで記憶が定着すれば解決するものですかね。
▼根抵当権の元本確定って、根抵当権者にとって有利なことなんでしょうか? それとも不利なことなんでしょうか? 設定時に登記する場合を除いて、根抵当権の確定期日の登記って、新設するか、延長するか、短縮するか、廃止するかの4パターンありますよね。で、仮に元本の確定が根抵当権者にとって不利なことだとすると、
・確定期日の延長、廃止→登記権利者=根抵当権者、登記義務者=設定者
・確定期日の新設、短縮→登記権利者=設定者、登記義務者=根抵当権者
になると思うのです。ところが実際の取り扱いでは、
・確定期日の新設、延長、廃止→登記権利者=根抵当権者、登記義務者=設定者
・確定期日の短縮→登記権利者=設定者、登記義務者=根抵当権者
なんですよね。新設の扱いが妙な感じしませんか? あ、でも設定時に極度額、債権の範囲、債務者とともに確定期日を登記するときは、原則通り登記権利者が根抵当権者になるわけで…。
不動産登記についてもっと理解が進めば、自然と分かるようになることなんですかねぇ。まあ試験対策としてはテキストに書いてある通りに覚えるしかないのですけど。