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委任の終了

権利能力なき社団”ってなかなか仰々しい言葉ですよね。最初見たときいったい何事かと思いました。しかも何のことなのか字面からはよく分からないという^^; 権利能力なき社団とは、社団としての実質を備えているにも関わらず法人格を取得していない社団のことです。自治会とかマンションの管理組合、サークル、学会、PTAなど、意外と身近にいろいろあるようですね。人が集まっていて、その中にある程度の組織的な仕組みのある団体ってイメージでしょうか。

 

法人格を取得している社団の代表例は、何と言っても会社ですね。会社は権利能力が認められているので、自らの名前で不動産の所有者になったりできます。つまり登記名義人になれるのです。ところが権利能力なき社団は「権利能力がない」ので、法律的な権利義務の主体となることはできません。だから不動産を自分で所有し自分の名義で登記することはできないのですね。でも上で具体例を挙げた通り権利能力なき社団にはいろいろな団体があって、中には実質的に社団の土地とか社団の建物とかいうものもあるでしょう。そういうときはどうするかというと、①代表者の個人名で登記、②メンバー全員の名前で登記、③規約に基づき特定のメンバーの名前で登記、といった方法が採られるそうです。

 

ところで、不動産登記法をやっていると「委任の終了」という不思議な登記原因が出てきます。委任契約が終了したという意味ではありません。権利能力なき社団の代表者名義で不動産の所有権を登記していた場合、代表が交代することがありますよね。このとき前代表者から新代表者へ所有権移転登記をするのですけど、このときの登記原因が「委任の終了」になるのです。では“委任の終了”のうちの委任とは何なのかというと、権利能力なき社団の名義では登記できないので、便宜的に代表者に登記名義人になってもらうという委任事務のことなのだそうですよ。その委任事務が終了することによって登記するから「委任の終了」になる、ということのようです。こんな簡単な言葉の中にそんな意味が込められていたなんて、ちょっとビックリしますね(笑)

 

あとそれから、「委任の終了」を登記原因として所有権移転登記がなされていると、登記名義人が個人名であっても相続登記はできません。委任の終了による登記が入ってるってことは、その不動産は社団のものであって相続財産にはならないからですね。では、社団の所有物として社団の代表者名義になったばかりの不動産があって、登記してすぐにその代表者が死亡してしまったなんて場合はどうするんでしょう? 代表者の交代が一度もないので「委任の終了」による所有権移転登記が行われたことがなく、それこそ社団のものなのか代表者個人のものなのか見分けがつかないはずです。そうすると相続人が「ああ、こんな土地もあったんだ」と思って相続登記を入れてしまう可能性はないんでしょうか。

逆に、「委任の終了」による登記が入っている不動産を、社団とは関係のない人に売却するときはどうするんでしょう? 本当に社団の持ち物ではなくなって買主の所有物になるんだ、ということを証明する書類などを添付することになるんでしょうかね。

 

調べてみると、「委任の終了」は地縁団体の所有地を何らかの都合で移転させなければいけないときに出てくることが多いようですね。そして代表者の個人名ならともかく、団体のメンバー全員の共有という形で登記したまま何十年も経ってしまって、相続が発生して関係者が物凄い人数になってしまった、みたいなこともあるようです。大変そう^^; 実際に司法書士になって実務に出たら、そういう登記に出会う可能性もあるのかな。楽しみなような怖いような…。