目指せ!47歳からの司法書士受験!

法律初学者のおっちゃんが合格するまでやりますよー

細かい違い

法律というと、勉強を始める前は些細で些末な決まりごとの重箱の隅をつつき回してくるものだというイメージがありました。でも実際のところは、社会の成り立ちが複雑になって、いろんな立場の人がいて、どの人の利益を重視するかによって決まりの違いが出てくるのですよね。微妙に立場の違う人がいたら、決まりの違いも微妙なものになるわけで、これはこれで当然のことだと思えるようになりました。しかし試験対策的にはなかなか面倒なことになりますよねぇ(笑)

 

●詐害行為取消権を行使するときに、受益者と転得者がいるとしますよね。で、債務者の行為が債権者を害することについて受益者も転得者も悪意でなければいけないのですが、実際の裁判では誰が善意または悪意かを証明するかについて違いがあるのです。 

 受益者が善意であること→受益者が主張立証

 転得者が悪意であること→債権者が主張立証

 受益者も転得者も、もともと債務者のものだった財産を持っている人ですけど、なんか微妙に責任の度合いが違うのですね。特に受益者は詐害行為取消訴訟を起こされたら「自分は何も知らなかったんだー!」ということを証明できなければ財産を返還しなければいけない立場に追い込まれるわけだから、結構シビアです。一方の転得者は、債務者や受益者からはちょっと距離があるので、善意である可能性が高いということなんでしょうか。

 

●地上権の設定の保全仮登記に基づく本登記をする場合、これと同時に申請するときに保全仮登記に係る仮処分の登記に遅れる用益権(または当該権利を目的とする権利)を単独抹消できます。保全された地上権の後に別の地上権が本登記されていても、保全仮登記を本登記したら地上権が重なっちゃうので、先順位の地上権(もともと保全仮登記されていた地上権)が優先するというわけですね。一方、この仮処分の登記に遅れた用益権というのが不動産質権だった場合は抹消できません。というのは、質権の本質は担保権なのであって、土地を使用収益することはオマケみたいなものだからだそうで。逆に、質権に遅れる地上権は抹消できます。地上権は紛れもなく用益物権ですもんね。まとめると、

 地上権に遅れる質権→抹消できない

 質権に遅れる地上権→抹消できる

地上権は用益物権、質権は担保物権という分類の話は、物権法の最初のところで軽く説明されていたのを適当に聞き流したりしていたわけですが、それがこういうところに影響してくるんですねぇ。どんな細かい知識もムダにはならないのだなぁと思います。

 

●譲渡制限株式を譲渡するには、株主総会やら取締役会やらの承認機関の承認が必要です(以下会社の承認と言います)。株式を譲り受けようとする人が会社にとって好ましい人であれば承認すればいいし、逆に株主になってほしくない人なら承認しなければ良いのです。譲渡当事者の側からは、会社が承認しない場合、その株式を会社または指定買取人が買い取るよう請求することができます。これらの制度によって、会社は好ましくない人を排除できるし、株主は株式を金銭に換えることができるわけです。それでは単純な株式の譲渡ではない場合はどうなるのでしょう? たとえば、株式に質権を設定したときや、競売によって株式を取得したときは、

 質権を設定する→会社の承認は不要

 競売による取得→会社の承認が必要

となっています。質権設定は、仮に質権が実行されて会社の望まない人の手に株式が渡ったとしても、会社はそれを承認しなければいいし、最悪買い取れば良いということです。だから質に入れること自体は自由にできるのですね。一方の競売は、売り方買い方がたまたま競売だったというだけで、買受人に株式が移転するのは普通の譲渡と同じことだから会社の承認が必要、なのだそうですよ。

 

司法書士試験の範囲内だけでも、こういう規定の細かい違いっていろいろありますよね。理由が分かれば、なるほど、確かに、と思えるわけですが、最初に見たり聞いたりしたときは面食らいますよねぇ。覚え切れるかなぁ…と^^;