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裁判と判決

幸か不幸か、今までの人生で自分が裁判の原告にも被告にもなったことはないのですけど、裁判というと勝訴すれば自分の権利が認められて、相手方から債権を取り立てたり不動産を自分のものにしたり、万能とまでは言わないまでも一気に自分の有利な状況にできる切り札的なイメージを持っていました。でも実際は、勝訴してからもいろいろな手続きを踏まないといけないんですねぇ。司法書士試験の勉強をして初めて知りました。

 

▼たとえば自分が土地を買って、相手が登記手続に協力しないから原告として訴えて給付判決を得たとしましょう。この判決が確定すれば、原則として単独で登記できますけど、その判決に「原告が○○万円支払ったら~」みたいな条件が付いていたら○○万円の支払いをしたことを証明して執行文を付与してもらわなければいけないし、相手方に相続が発生し登記されたら承継執行文が必要です。面倒ですね。さらに口頭弁論終結後相手方が目的の土地を第三者に譲渡して登記を移してしまうと、たとえ勝訴しても自分が土地を取得することはできないのです。なぜなら被告を起点として二重譲渡があったのと同じことだから、というのですが…最初この話を知ったときは軽くショックを受けましたよ。裁判に勝っても何の意味もないじゃん!と。それを防ぐために保全手続があるわけですが、だからってこんなやったもん勝ちでいいのか、みたいな義憤を感じます(笑)

 

▼で、所有権移転登記を命ずる確定判決によって単独申請する場合、登記権利者側の書類は全部必要だし、登記上の利害関係人の承諾とかも一切省略することはできません。登記原因についての第三者の許可については、判決の主文か理由中でそれが得られていることが分かれば別に添付しなくてもいいのですけど…。普通に共同申請するときは登記義務者が登記識別情報と印鑑証明書を差し出して土地を売ってしまってもいいですよという意思表示をするのですが、判決はこの部分だけを穴埋めしてくれるに過ぎないのですね。だから義務者側以外の書類や手続が判決のパワーでなくてもいいことにできる、というわけではないのです。考えてみれば当たり前のことですが、何というかこう、判決ってそれだけの効果しかないのか…という微妙にガッカリした気分になりますね^^;

 

▼さらに上の例で、被告である登記義務者が住所を移転していたとします。そして判決書正本に登記記録上の住所と現在の住所が併記されているとしましょう。すると、登記記録上の登記名義人と、所有権移転登記を命じられた被告が同じ人であることは判決書を見れば分かるから、判決書正本を添付して所有権移転登記ができても良さそうですよね。でも、これはダメなのです。まず所有権登記名義人の住所変更登記を入れてから、判決による所有権移転登記、というように2段階でやらなければいけません。所有権はとても大事な権利なので取り扱いが厳密なのだそうですが、判決書に書いてあるってことは裁判所のお墨付きがあるってことじゃないの?と思えてしまいます。

 

▼「無効を確認する訴訟」というのもよく分からないというか、どういう場合に訴えることができるのか明確にイメージしにくいです。行政書士試験の中の行政事件訴訟法に、訴訟類型の一つとして無効等確認の訴えというものが出てきますけど、この訴えをするためには“確認の利益”が必要とされています。しかし確認の利益といわれても…ピンときます? で、会社法にも、あちこちに無効確認の訴えというものが出てきますよね。たとえば募集株式が発行された後に、その発行に関する株主総会決議の無効確認の訴えは提起できない、みたいな。もう株式が発行されちゃった後なんだから、決議の無効を確認しても仕方ないでしょ、ということのようです。それは確かに…というか確認の利益ってそういうことですか^^; 

 

○逆に、裁判所や判決のパワーを見せ付けてくれることもありますね。例えば不動産がA→B→Cと移転しているときに、真ん中のBをすっ飛ばしてA→Cとする登記(中間省略登記)はできず、原則としてA→B、B→Cと2段階の移転登記をしなければいけません。物権変動の過程を忠実に記録しておくべきという考え方から中間省略登記は認められないのです。その不便さを回避するために第三者のためにする契約や買主の地位の移転を利用する手法が編み出されたのですよね。ところが、主文に登記原因が記載されている判決を取れば、大手を振ってA→Cとする登記ができるのです。主文に登記原因が書かれてなくても、中間または最終の登記原因に相続・遺贈・死因贈与が含まれていない場合なら中間省略登記できます。でもこれ、中間省略登記はダメって話だったはずなのに、判決を取れば横車を押すことだってできるんだ!という風にしか見えませんがどうなんでしょう?

 

司法書士の仕事をするようになったら、訴訟に関わることもあるのでしょうか。自分はできれば簡裁訴訟代理の認定を取りたいと思っているのですけど、これはこれでハードらしいですよね。ややこしそうだもんなぁ^^;