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現存利益

不当利得があったら返還しなければいけませんが、善意か悪意かによって返還すべき範囲が変わってくるというのは民法の勉強をして初めて知りました。善意の受益者は「利益の存する限度」で、悪意の受益者は受けた利益に利息を付し、さらに損害があるときは賠償もしなければいけない、とされています。悪意の受益者というのは、あわよくばネコババしちゃえ…という人のことでしょうから、バレたら相応のペナルティがあるのは当然でしょうね。

 

▼問題は善意の受益者の方なのです。利益の存する限度というのは、現に手元に残っている利益=現存利益を返還しなさい、という意味です。たとえば不当利得が10万円だとして、それがまるまる手付かずのまま残っていたとしたら、その10万円をそのまま返せばよいわけです。しかし、その10万円を光熱費とか家賃とか食費とか、生活に必要不可欠な支払いに充てたとすると、不当利得の10万円によって本来消費しなければならなかった10万円が浮いたということになる=10万円分の現存利益があるということになり、10万円全額を返還しなければいけません。ところがですよ、10万円をキャバクラで使ってしまった、ギャンブルでスッてしまった、だから1円も残ってない、となったら、何と1円たりとも返還しなくてよいのです! なぜなら、こういう遊興費に費消した場合は、現存利益がないから。納得いかねぇぇぇぇ!

 

▼未成年者が親権者や法定代理人…面倒だから単に親としておきますけど、親の同意を得ずにした行為は取り消すことができます。未成年者が親の同意なく勝手にバイクの売買契約を結んで、お金を払ってバイクの引き渡しを受けたとします。この場合、親または未成年者本人は売買契約を取り消して、お金を返してもらうのと同時にバイクを返還することになりますが、ここで未成年者が相手方に返還すべきものは「現存利益」でよいことになっています。バイクが普通に残存していればそれを返すとして、もし事故って廃車になってしまったなんてことになっていたら、現存する利益は残っていないので、何も返還しなくてよいのです。うーん。こういう場合、親の監督不行届の責任を取らせろみたいな気持ちになりますけど、それは民法とは別の話ということなのですよね^^;

 

理屈としてはそうだけど…と割り切れなさが残る話なのですが、そもそもなぜ割り切れないのかというと、遊興費として費消してしまったことそのものが不当に見えて、それに対するペナルティが何もないからじゃないかと思います。でもそれは民法としてのロジックとは関係のない話で、もし罰金やら過料やら何らかの権利を制限するやらのペナルティを科すのなら、別の筋道を通すとか制度を作るとかしなければいけないってことなんでしょう。また、2つ目の例の未成年者のような制限行為能力者は、他の人に多少迷惑をかけることになったとしても保護すべきってことなんですかね。法律って難しいですね^^;