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利害関係人の承諾

不動産の変更登記や抹消登記に出てくる利害関係人の承諾って必要か不要か分かりにくいな〜というか、最初はすごく面倒に感じました。試験では、承諾が必要ということさえ分かれば、あとは答案用紙に「承諾を証する情報」と書くだけなんですけど…(^^;

 

▼まず根抵当権根抵当権の極度額は、担保する債権の限度額のようなものと説明されます。たとえば先順位の根抵当権の極度額が増額されたら後順位の担保権者の取り分が減るかもしれないし、極度額が減額されたらその根抵当権の転抵当権者に不利益があるかもしれません。だから極度額を変更するには、利害関係を有する第三者の承諾が必要になるのは理解できます。

でも、債権の範囲や債務者、確定期日の変更は根抵当権者と設定者だけで変更できて、利害関係人がいないというのは何となく腑に落ちないのです。たとえば、債権の範囲がA取引だけだったものが、ある時点からA取引とB取引になった場合、後順位の担保権者から見ると債権の範囲が広がったってことはそれだけリスクが大きくなったってことにはならないんでしょうか? 債務者の変更なんてもっと不思議。債務者が堅実なAさんからルーズなBさんに変更されたとしたら、後順位の担保権者としては気が気じゃないのでは、と思うのですが、制度上口を挟む機会はまったくないのですよねぇ。まあ極度額まではカバーされるんだから、その範囲内では債務者や設定者の事情なんて債権者には関係ないってことなんでしょうけど…。

 

▼ある土地がA→Bと移転して、BがCのために抵当権を設定しています。その後Aが、A→Bの所有権移転は強迫によるものだったとして取り消したとしましょう。民法の規定によれば、強迫による取り消しは第三者に対抗できます。つまりCが登記を得ていても、Aの取り消しが優先します。だからAは無条件…だとあまりにもCに酷だから通知くらいすればCの抵当権を抹消して所有権を取り戻せても良さそうですよね。ところが登記の実務では、この場合のCは登記記録上の利害関係人に当たり、抵当権の抹消にはCの承諾が必要になります。そして、このCの立場は意外と強くて、たとえAがBに対して抹消登記をせよとの確定判決を得たとしても、やはりCの承諾がなければいけないのです。承諾が必要というのは、Cの承諾を証する情報を提供しなければ登記申請を受け付けてくれないという意味なのですが、判決があってもダメとは…。なぜこんなに優遇されているんでしょうね?

Cが承諾しない限りAは所有権を取り戻すことができないままなのかというとそんなこともなく、真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記をする手があります。でもこの場合、Cの抵当権が付いたままになるんですよね。そのままCの抵当権が実行されてしまったらどうなるんでしょうか?^^;

 

▼これは単に勉強不足なだけですが、承諾があれば付記登記、なければ主登記で実行されるというのも、つい「承諾を証する情報がなければ登記できない!」と思いがちなんですよね。たとえば抵当権の被担保債権の利息を増やす(金利を上げる)変更登記をする場合、後順位の抵当権者は利害関係人に当たります。で、択一の問題で「後順位抵当権者の承諾を得なければならない」という選択肢を選んでしまって不正解…ということが何度もあるのです。これ、承諾があれば付記登記、なければ主登記なんですが…いい加減覚えろよ自分!^^;

 

▼上の例の続きのような話です。仮登記に基づく本登記を申請する場合、登記上の利害関係人がいるときはその承諾が必要です。つまり、本登記したら抹消されてしまう登記があるとき、てことですね。で、所有権移転仮登記の前から存在する抵当権の登記に、仮登記後に変更の登記(利率を上げるなど)があった場合、それが付記登記でなされていれば所有権の仮登記を本登記しても影響を受けないので承諾は不要ですが、主登記だった場合は影響を受けるので承諾が必要です。影響を受けるというのは、所有権仮登記が本登記されたら抹消される運命にあるということですね。しかしまあ、これも変更登記が付記登記で入っているのか主登記で入っているのかを考えることなく解答してしまいます…。

 

▼先順位で地上権、後順位で抵当権が登記されていて、地上権に存続期間の定めがあるとしましょう。この存続期間を延長する場合、地上権の効力が増すので後順位抵当権者は利害関係人に当たります。だから存続期間延長の登記をする場合は抵当権者の承諾がなければならない…というわけではなく、承諾があれば付記登記で、承諾が得られなければ主登記で実行されます。言われてみればそりゃそうだ、という話なんですけど…。主登記付記登記について3つの例を挙げましたが、これらは全部不動産登記法の択一式で出題されたものです。本番でこんなの出てきたら…と思うと、ちょっと怖いですね^^;

 

▼利害関係人に見える人が出てきて承諾が必要な感じもするけど実は必要ない、ということもあります。信託の登記がなされた不動産を受託者の固有の財産としたとき、その旨の所有権の変更登記をしますよね。で、信託の登記の後に第三者の所有権移転仮登記が入っていたとすると、 この第三者の承諾を証する情報が必要そうに見えますが…この場合は不要なのです。信託財産を固有の財産にしたことによる所有権変更登記は、実質的には所有権移転登記なので、承諾を証する情報が必要な場合(権利の変更登記、不動産登記法第66条)には当たらないから、だそうです。それにしても信託は信託で特殊なやり方が多いですね〜。

 

変更登記のときは、誰がいつ何の権利を得たかをちゃんとチェックすれば、何が難しいという話ではないと思うのですが…注意力が試されてるってことでしょうか^^;