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一般病棟(個室)での出来事(1)

さて、エレベータを降りて廊下を進み、何度か角を曲がると、2人の看護師さんが待っていました。「こちらの部屋に入って下さいね」ということで通されたのが、患者4人を収容する部屋(大部屋と呼ばれている)。まあ、普通の病室です。他の患者さんもいるようでしたが、個々のスペースがカーテンで仕切られているので、どんな人がいるのかは分かりません。自分のスペースは部屋の奥の窓側で「よかったですね~」と言われたのを覚えています。取りあえず車椅子からベッドに移り、仰向けになって一息つきました。…と簡単に書きましたが、この時の自分にとってはひと仕事で、膝をガクガクさせながら立ち上がり、そのままベッドに倒れ込むような感じだったのです笑

と思ったらまた看護師さんが来て、「別の部屋に移動します。ベッドごと行きますからね~」と言われました。そういえば、自分をここまで連れてきてくれた集中治療室の看護師さんはいつの間にかいなくなり、車椅子と借りていた履き物が片付けられています。一言お礼言いたかったんだけど、引き継ぎがスムーズすぎてタイミングをつかめなかったです^^; それはそうと、看護師さん2人で4人部屋からベッドを出して、また廊下を進み始めました。ベッドの脚にキャスターがついているので、患者を寝かせたまま移動できるのです。「目をつむってて下さい。目が回るといけないから」と言われましたが、どこへ行くのか興味があったので薄目を開けて見ていました。まあでもどこをどう移動したのかよく分からず、到着したのは個室でした。恐らく一般病棟の中にも何段階かのレベルがあって、集中治療室から出てきたばかりの患者はいったんこの個室に入れて様子を見て、回復してきたら大部屋に移るのでしょう。

 

個室の一方に窓があり、ちょっとだけ空が見えます。部屋の大きさは集中治療室と大して違いませんが物々しい機械類はありません。枕元の壁に酸素を供給するためのコネクタやナースコールのコードの接続口があり、ベッドの横には点滴バッグを吊り下げる台や私物を入れるためのキャビネットが置いてあります。さらに、その部屋専用のユニットバス(トイレとシャワー)が付いていました。これは嬉しい…と思いましたが自力で歩けないのでは使いようがないのですよね^^; そうやって部屋の中をキョロキョロ見回しているうちに、看護師さんが、集中治療室を出るときに袋に入れた私物をキャビネットに移してくれました。

それから一般病棟の説明をしてくれたのですが、その中で一番重要なことは、コロナの患者は一般の人がいるエリアとは隔離されたエリアに収容されており、自由に出歩くことはできない、ということです。一般の人が隔離エリアに入ることもできません。患者の家族であっても例外なく、です。それから、隔離エリア内には公衆電話はないし、飲料の自動販売機もありません。感染を防ぐため「みんなで共用する」というものがすべて撤去されているのです(大部屋の人が使うトイレやシャワーは別ですが)。

最も困ったのが、外部への連絡手段が一切ないということ。救急車で病院に運び込まれた時にスマホも財布も持たされていなかったため、家人に「集中治療室を出たよー」とか「何々が必要だから持ってきてー」みたいな連絡はできませんし、病院の1階にあるという売店で飲み物などを買うこともできません(もちろん自分で買いに行くのではなく、看護師さんに頼んで買ってきてもらうのです。隔離エリアから出られませんからね)。それじゃ、どうやって家人に連絡を取ったら良いのだろう? このままでは日々の生活に不便を来すことは明白だし何とかしなければ…そうだ、電話を貸してくれませんかと言うと「それはダメです」と、すげなく断られてしまいました。日本にいるのに絶海の孤島に置き去りにされたような、牢獄の奥深くに閉じ込められたような気分笑 いや、冗談抜きに心細くなりますよ。

 

結局、先生から家人に電話して、集中治療室から出て一般病棟に移ったことを伝えるときに、スマホやシャンプーなど必要なものを差し入れてほしいと伝言してもらおうってことになったのですが…自分の記憶にはちょいちょい妄想が混入しています^^; 前々回、家人が病院にクレームを入れたという妄想を書きましたが、一般病棟に移ってきた時点では自分の中ではまだ現実です。そこで看護師さんに、家人と集中治療室の先生方との間でひと悶着あって、家人と先生とはあまり会わせたり電話させたりしたくないのだ、と話してみました。今考えるとまったく脈絡のない要領を得ない話をしたと思われるのですけど、看護師さんはちゃんと聞いてくれて、それじゃ私が集中治療室に行って話をしてきましょうと言って部屋を出ていきました。しばらくしたら看護師さんが戻ってきて、「入院時に先生が書いてくれた書類などをもらってきました。輸血や手術の同意書とか。あと家の方には私から電話して、必要なものを持ってきてくれるように伝えておきましたよ」と言ってくれたのでした。看護師さんって本当に凄いですよねぇ…妄想混じりの患者の話に付き合って、その上でやるべきことはしっかりやってくれるんですから。本当に頭の下がる思いです。

 

それではまた次回。