目指せ!47歳からの司法書士受験!

法律初学者のおっちゃんが合格するまでやりますよー

仕事のステップアップ?(1)

ステップアップといっても、司法書士の中で不動産登記を極めたから次は商業登記だ!とかいう話ではなく、士業の中で別の資格を取得するという話です。ダブルライセンスとかトリプルライセンスとかですね。まあ仕事の幅を広げるためにはそういう手段もあるのかなと思うのですが、しかし目指すのが司法試験つまり弁護士資格…となると、ちょっと非現実的な感じがしてきますね。なぜこんな話をするかというと、資格スクエアの次の動画を見たからなのです。

 

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行政書士司法書士がキャリアアップして弁護士になる…というルートは、そんなに一般的なものなのでしょうか? って、いやいや、そんなワケありませんよね。正直、求められる法律の知識も思考力も試験の難易度もレベルがまったく違いますし。それなのに、資格試験について詳しいところがこういう動画を公開して、再生回数が3千回を超えているということは、こういうルートに興味を持つ人がそれなりにいるとも言えます。まあ、昔みたいに日本一難しいと言われる司法試験に受かるためには法学部に進学してガリガリ勉強する!しかルートがなかった時代(自分が大学生の頃はそんな感じでした。在学中に司法試験に合格した人なんかはエリート中のエリート的な特別視をされていたのを覚えています)とは状況が違ってきてますし、社会人経験のある人が弁護士を目指すケースも増えているのでしょうし、それならば法律に関する資格である行政書士司法書士を持っている人が弁護士に強い関心を寄せるのも当然の成り行きなのかな、という気もしますが…。

 

ところで、自分は司法書士になったとしても、司法試験を受けて弁護士を目指そうとは思わないと思います。また、司法書士試験を数回受験して合格できなかった場合でも、そこから予備試験などへの転向を考えるってことはあり得ません。なぜなら、弁護士という仕事が自分に向いてなさそうだからです。そう思ったのは、オートマの民事訴訟法のテキストを読んでいたときでした笑

裁判というと原告側弁護士と被告側弁護士が法廷で対峙し、互いに攻撃防御方法を繰り出して真実を追求し、最終的に裁判官が断を下す…みたいなイメージですけど、実際にやることといえば「陳述しますか?」「陳述します」という長閑なやり取りだったりするわけですよね。また、攻撃防御方法って要は証拠や証人のことですが、どういう証拠を提出してどんな証人を連れてくるかは、事前に相手にも分かっているのです。つまり、事前準備手続の中で、自分の主張を正当化するための証拠はコレですってことを裁判官や相手方に説明しているのですよね。すると、法廷で証拠を提出したり証人を尋問したりする場面は、映画やドラマとは違って非常に予定調和的なものになりそうな感じがしませんか? そしてさらに重要なのは、裁判官の心証が事前準備手続によってほとんど固まってしまうらしいことです。裁判官としては、事前に原告被告双方の証拠を見て話を聞いて、なんだ、これは原告(被告)の言う通りじゃないか…と思うケースがほとんどなのだろうと思います。しかし、裁判官が既にある一定の心証を持っているにも関わらず口頭弁論であれやこれややるのは、何となく滑稽な気が^^; さらに、裁判の途中で裁判官が転勤等で交代すると、裁判の流れがまったく変わってしまうこともあるそうですよ。これは、裁判官個人に由来する変化だけでなく、事前準備手続などでの裁判官との“腹芸”が物を言う、ということでもありそうです。オートマのテキストにそのようなことが書かれているのを読んで、法廷で事実と論理によって真実を明らかにする…というだけでなく、(法廷でない場で)裁判官とのそういうやり取りが求められるのは、自分にはちょっと厳しいなぁと思うのでした。

 

さて、上の動画の内容は、行政書士→弁護士や司法書士→弁護士は試験での共通科目があるから勉強が無駄にならない、だからチャレンジしよう!というもの。仕事の内容としても、行政書士司法書士にできることは弁護士なら全部できるし、それに加えて弁護士なら法律相談や相手方との交渉、さらには裁判までできて法的に終局的な問題解決が図れる、だから行政書士司法書士としての仕事がさらに広がる!とのこと。それはそうなのかもしれないけど、たとえば不動産登記に関する業務はほぼ司法書士が独占しており、法律上は弁護士がやってもOKなはずなのに、実際は弁護士による登記は結構例外的なことだとも聞いたことがあります。弁護士が増えすぎて平均収入が減少し、食うや食わずの窮状に追い込まれる新人弁護士まで出てきてしまう現状であっても、弁護士が司法書士の領域(不動産登記)に大挙して進出してくるということにはなっていないのですよね。行政書士も似たような感じなのではないかなぁと想像します。弁護士が役所に出す許認可申請を専業的にやるって話は聞いたことがない気がしますし。

また、収入というか報酬の稼ぎ方にも違いがありそうです。司法書士は責任の割には報酬額が低すぎるという自虐?はよく聞きます。だからある程度以上に収入を得ようと思ったら、仕事の件数を多くするのが手っ取り早いということになります。行政書士も同様と思います。しかし弁護士は取り扱う案件の訴額に制限はなく、大きな仕事で成功(勝訴)すれば報酬も期待できます。実際ちょっと前までは、弁護士は高収入な職業の一つとされていましたよね。その弁護士から見ると司法書士行政書士のように少額の報酬を積み上げていくような仕事のやり方はかったるく見えるだろうなぁという気がします。また、さっき書いた通り弁護士は過当競争で、一握りの高収入な弁護士と大多数の以前より収入が得られなくなった弁護士とに二極化しており、そういう世界に飛び込んで稼いでいくのは相当に厳しいと思います。このように考えてみると、行政書士と弁護士、司法書士と弁護士の間には、外から見ている以上に深い溝があるのだろうなと思いますし、逆に弁護士から見ても行政書士司法書士の世界は遠い場所って感じなのでしょうね。

 

試験の内容についても思うことがあるのですが、長いので別記事にしたいと思います。何にしても、行政書士司法書士から弁護士は、ステップアップというには段差が大きすぎると思います^^;