目指せ!47歳からの司法書士受験!

法律初学者のおっちゃんが合格するまでやりますよー

仕事のステップアップ?(2)

行政書士試験、司法書士試験、司法試験・予備試験の3つの試験に共通の科目があるというのも、言うほどアドバンテージあるのかなぁ…という気がしますね。たとえば民法という科目は3つの資格試験に共通しています。だから行政書士試験に向けて民法を勉強すると、それが司法書士試験や司法試験・予備試験に役立つと言われるわけですが、自分はそれはちょっと違うんじゃない?と思っています。まず行政書士司法書士の間で既にレベル差がありますよね。たとえば物権法では、行政書士は共同抵当権実行時の配当がいくらになるかみたいな計算問題は多分出ないし、根抵当権についてもサラッと一通りのことを覚えておけば良かったのですが、司法書士はガッツリ出題されます(不動産登記法で出題されることも多いですが)。司法試験・予備試験はどうかというと、そんなに問題をあれこれ見ているわけではないのですが、こちらでは司法書士でも出題のない不動産が3つの共同抵当が出てくるし、質権や所有権留保みたいな司法書士ではサラッとしか出題のない論点がこちらでは深いところまで突っ込みが入ることがあるようです。

また、会社法も違いがありますね。行政書士の場合、会社法は5問しか出ないから捨てる人もいるという感じで、司法書士で言うところのマイナー科目のような扱いでした。自分も頻出の設立と機関のところだけ何度かテキストを読んで、あとは時折過去問を解くだけしか勉強しませんでした。それでも何とか5問中4問正解できたのですよ。ところが司法書士会社法民法不動産登記法の次に出題数が多く、商業登記法会社法の知識が前提とされていて、かなり広い範囲を満遍なくそれなりの深さで押さえなければいけません。役員の責任とか組織再編とか、いろんなところで出てくる訴訟とか、時々出題されて、しかも細かいところまで聞かれる論点などもの凄く面倒ですよねぇ笑 さらに司法試験・予備試験では、マークシートの多肢択一式だけでなく論文試験がありますよね(民法もです)。演習書などをパラパラ見てみると、必要とされる知識は割と基本的なものばかりなのに、それを事例に沿って組み合わせて短時間のうちにまとまった文章に仕上げるのはかなり大変。また会社法判例集(百選ではなくもっと易しめの初学者向け解説書みたいなのですけど)を読んだりすると、司法書士会社法のテキストで出てくるような典型的な話ではなく、設立にしても株式の発行にしても解散にしても特殊な個別の事情が絡んだ事例が出てきます。読み物としては面白いけど、それらをベースに組み立てられた問題を解くとなったら厳しいですね。なので個人的な印象として、少なくとも民法会社法についてはレベルが高い方から司法試験・予備試験>司法書士行政書士となっているのは明らかで、しかも一つ上のレベルの試験を受けるのに役立つと言えるほどレベルが近いわけでもない、という感じがします。

 

試験についてもっと言えば、行政書士司法書士と司法試験・予備試験では最初に法律的な考え方の土台を作るところからして差があるように感じます。退院して司法書士試験が終わってからというもの、ちょっと時間があったので、スタディングの動画とか司法書士試験用のテキストとかではなく、法学部の学生が使っているような法律の基本書とされているものを民法会社法について読んでみました。たとえば民法司法書士の過去問だけでも結構な分量があって、しかも細かいことを覚えている必要があります。でも過去問回しを中心に勉強していると、ある問題で間違った選択肢を選んでしまったときに「なぜ自分の出した答えは不正解なのだろう?」と疑問に思うことがありますよね。合格ゾーン過去問集は選択肢一つ一つに解説が付いてますけど、それでも充分に説明してくれてないこともありますし。そこで、断片的に知識を詰め込むのではなくきちんとした土台を作ろうと思って基本書を読み出したのでした。

基本書とはいえ法律の専門書なので、難解かつ無味乾燥な文章がダラダラ続いていたらイヤだなぁ…と初めはちょっと気後れしていたところもあったのですが、読み始めてみると意外と読みやすいのですね。多分、司法書士試験向けの勉強によって内容や意味をある程度知っているからだと思います。本人が無権代理行為を追認しなかったら拒絶したことになるよとか、土地の借主は第177条の第三者に当たるけど借地上の建物の賃借人は当たらないよとか、スタディングの講義で聞いた話がそのまま書いてあって最初はとても感動しました笑←当たり前の話ですけどね^^; もっとも、一番印象に残ったのは、一つ一つの論点について誰が何を主張立証しなければいけないか、というコメントがついていることでした。特に不法行為についてのテキストは民事訴訟法の内容もたくさん出てきて、裁判で争うことを前提にした解説になってたりします。司法書士の場合はたとえ認定を取ってたとしても不法行為に基づく損害賠償請求を簡易裁判所で訴えるなんて仕事はなかなかないでしょうし、そもそもそこまで突っ込んだ内容の問題は司法書士試験では出題されなさそうですが、弁護士となったらそれが本来の仕事になるのですよね。

司法書士民法は、たまに学説問題が出るけど基本は試験に出る項目をちゃんと覚えて、それを多肢択一や不動産登記法の記述式を解くときに知識として使う、という感じですよね。しかし司法試験・予備試験のレベルになると、こういう事例では原告はこういう主張立証をすればよい、それに対して被告はこういう抗弁をするであろう、さらにそれに対して原告はどうすればよいか、被告がそれとは別の抗弁をしてきたらどうするか、みたいな、実際の裁判の流れを念頭に置いた問題が出るのですね。単純に丸暗記するだけでは、そういう問題を解くのは難しいです。つまり、司法書士よりも司法試験・予備試験の方が難しいと思われます。

 

さてここで、以上とは全然別の観点からそれぞれの資格を比較してみたいと思います。それは通信講座の受講料。スタディングの2022年・2023年対応の各講座について、受講料(定価)を調べてみると次の通りでした。

●司法試験・予備試験 134,200円

司法書士 104,500円

行政書士 64,900円

実際にこの価格を払っている人はほとんどいないと思うのですけどね。というのも、だいたいいつも何とかキャンペーン!みたいなのをやっていて、幾許かの値引きがあるのが常態化しているからです。それはともかく、スタディングの場合どの講座もスキマ時間に勉強できるというのを売りにしているわけで、講座の作り方の基本方針のようなものはあまり変わらないでしょう。すると、この価格の違いは純粋にコストの違い(多分、量的な)なのだろうと思います。単純に考えれば、最も軽いのが行政書士、その倍くらいのボリュームになるのが司法試験・予備試験、その間に司法書士、という感じになるのでしょうかね。他の予備校などの受講料も金額の高い方から司法試験・予備試験>司法書士行政書士という並びになっているから、やっぱりこの順で勉強の量が求められるってことだと思います。まあホントに難易度と金額が比例しているわけではないのでしょうけど、目安としては分かりやすいよな〜と思います^^;

 

なお、ここまでダラダラと書いてきたことは、あくまでも資格試験として比較したときの話です。実際に資格を取って実務に出ると、弁護士だから確実に高収入、行政書士だから味気ない仕事で低収入、などと決まっているわけではないのです。本当にその人次第というか。でもこれは、社会人なら誰でも分かっていることでしたね笑