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組織再編の債権者保護手続(2)

会社法にしても商業登記法にしても、組織再編がテーマの問題は結構出題されています。そして記述式では、いろいろな論点の中に合併や株式交換が紛れ込んでいる、という問題になっています。結構複雑だったりしますよね。昔は合併や会社分割が単一のテーマとして出題されたこともあったらしいですよ。でもそれはそれで、重箱の隅を突きまくるような問題になりそうでイヤだなぁ…と思ったりもします^^;

 

●会社分割

会社分割とは、分割する会社(分割会社)の事業についての権利義務の全部または一部を、他の会社に承継させる(吸収分割)、または新しく設立した会社に承継させる(新設分割)ことです。合併と違って、会社分割後も分割会社が存続します。

 

さて、A社を分割会社、B社を承継会社とする吸収分割が行われて、A社の債権者Xの債権がB社に承継されることになったとします。A社の債務がB社へ移転することについて特に何の条件もなければ、Xとしては自分の債権の債務者がA社からB社へ変わることになりますよね。つまり、Xから見ると免責的債務引受があったのと同じです。そして民法上は、元の債務者と引受人の合意で免責的債務引受をするときは債権者の承諾が必要になるのでした。上の例で言えば、元の債務者A社と引受人B社の合意でB社が免責的に債務を引き受けるのだから、債権者Xの承諾がなければ有効にならないはずです。ところが、会社分割ではXの承諾がなくてもA社からB社へ債務が移転してしまうのですよ。いちいち個々の債権者の同意を必要とせず、当事者の合意でできるところが、会社分割の最大の特長なのです。こうすることで、会社同士の再編をやりやすくしているのですね。そして債権者がまったく口を出せないのでは問題があるので、個別の同意の代わりに債権者保護手続が求められる、というわけです。

しかし、会社が分割しやすい仕組みになっているということは、それを悪用する輩も出てきやすいということでもあります。実際、業績の悪化した会社が立ち行かなくなった事業だけを分割(逆に、見込みのある事業だけを分割)して、従来の債権者が業績の悪化した側に取り残されるといった事態が多発したそうです(詐害的分割)。それで、会社分割の場合は特に債権者の保護に配慮すべきと考えられるようになって、他の組織再編では見られないルールが規定されているのですね。

 

それではまず、分割会社A社と承継会社B社のうち、A社の債権者Xについて考えてみます。A社からB社へ移転した権利義務の中に、Xの債権が含まれていたとします。これをXから見ると、債務者がA社からB社へ変わるのであり、免責的債務引受があったのと同じことになりますね。この場合、上に書いた通り本来はXの承諾が必要ですが、会社分割では個別の承諾の代わりに債権者保護手続をすれば良いとされています。債権者が何人もいたら、本当ならそれら全員に連絡を取って承諾を得なければいけないところ、債権者保護手続ならまとめて進められるので、会社にとってはかなりの負担軽減になるわけなのですね。ということで、この例のXのような分割会社に対して債務の履行を請求できなくなる債権者は、異議を述べることができます。

一方、A社にはもう一人、Yという債権者がいたとしましょう。しかしこのYの債権は、今回の会社分割で承継会社に移転する権利義務の中に含まれていませんでした。するとYは、自分の債権の相手方は会社分割の前も後も分割会社A社であり、分割後も分割会社に債務の履行を請求できます。つまり、Yの債権には何の変化もないのですね。となれば、Yには異議を述べる機会を与える機会は特に必要ないわけです。

なお、Xの債務を承継会社が重畳的に引き受ける場合は、Xから見ると分割後は承継会社に債務の履行を請求できるのはもちろん、分割会社にも請求できます。従って、この場合はXも異議を述べることができません。こういう事例を使った問題が実際に出題されてますね^^;

 

次に、会社法になる前の旧商法時代に人的分割と呼ばれていた制度を見てみます。会社分割によって分割会社A社から承継会社B社に権利義務が移転すると、その代わりにB社からA社に分割対価が交付されます。この分割対価は、旧商法時代は原則として株式のみだったそうですが、現行の会社法における対価は基本的に何でも良く、新設分割では設立会社の株式のほかは社債新株予約権新株予約権社債、吸収分割ではそれらに加えて金銭となっていますね。で、旧商法時代の会社分割では、対価を分割会社が受け取る物的分割と、株式の全部または一部を分割会社の株主が直接受け取る人的分割という2種類のやり方が存在していました。ところが現行会社法では現物配当がOKになったので(旧商法時代の配当は金銭でなければならないと解されていました)、「株式を対価とする物的分割」と「分割会社が受け取った株式の株主への配当」を同時に行えば、実質的に以前の人的分割と同じことになります。そこで現行会社法では対価は分割会社だけが受け取るものとして物的分割に一本化し、人的分割を廃止したのでした。しかしA社としては、吸収分割契約または新設分割計画の定めによって、A社が受け取ったB社の株式を、会社分割の効力発生と同時に剰余金の配当または全部取得条項付種類株式の取得対価として株主に直接交付することができます。この場合は債権者保護手続が要求される代わりに分配可能額の規制は受けないことになっていて、旧商法時代の人的分割が存続しているというわけなのですね。

要するに、人的分割をするときは債権者保護手続をしなければいけません。A社が受け取った財産であるB社の株式が、剰余金の配当または全部取得条項付種類株式の取得対価として株主へ交付されるのは、A社の債権者から見れば会社の財産が流出しているということだからです。そこで、A社の債権者は分割後もA社に対して債務の履行を請求できるとしても、異議を述べることができます。まとめると、人的分割を行う場合は分割会社の債権者について債権者保護手続が必要になります。

 

一方の承継会社B社はどうなるのかというと、B社が吸収分割をするときの吸収分割承継会社の場合、B社の債権者は必ず異議を述べることができます。B社はA社の権利義務を承継するということは、A社から財産を引き継ぎますが同時に負債も受け取るわけです。これはB社の債権者にとって看過できないことなのですよね。つまり、承継会社の債権者については常に債権者保護手続が必要です。

新設分割をする場合は、設立会社は会社分割による設立登記をしたときに成立します。したがってそれ以前には債権者なんて存在しません。そこで新設分割の設立会社での債権者保護手続は不要です。

 

以上をまとめると、

▼分割会社

会社分割の後、分割会社に対して請求できる債権者→不要

それ以外の債権者→必要

人的分割をする場合→必要

 

▼承継会社

常に必要(ただし新設分割では不要

あらま。長々と書いてきた割には簡単にまとまってしまいました笑

 

というわけで、今年の試験でも組織再編について何かしら問われるのでしょうから、しっかり対策をしておきたいところです。でも、いろいろとややこしいんですよねぇ…。単純に頭が慣れてないからややこしく感じるだけなのかもしれませんけど。だから対策としては単純ですが、繰り返し問題を解いて驚かないようにするのがいいかもですね笑

組織再編の債権者保護手続(1)

会社法商業登記法の組織再編のところって皆さん得意ですか? 企業グループ全体を巻き込むような大規模な合従連衡はニュースとして見ている分にはダイナミックで面白いものですが、その中で法的な手続きをしている人たちは大変でしょうねぇ…^^; というか、自分の勤める会社が合併や会社分割の当事者になったという経験は自分はないのですけど、職場の雰囲気とか雇用契約関係なんかどうなるんですかね。そういえばバブルが弾けて何年か経って金融機関の再編が進んでいた時期に、「救済合併」といって強い銀行が弱い銀行の破綻を防ぐために合併するってことがよくありました。そういうとき、救済される側の銀行の悲哀というか、救済される側銀行出身の行員の救済する側銀行での立場の不安定さというか、バブル期には文字通り我が世の春を謳歌していたはずの人たちが、数年後にはリストラ要員に転落してしまった現実には、この世はやっぱり諸行無常であるなぁ…と思わされたものですよ。

それはともかく、その頃の組織再編というのは合併しかなかったのですよね。それが平成11年に株式交換と株式移転、平成12年に会社分割が導入され、組織再編の手法は一気にバリエーションが増えました。合併は被合併会社の権利義務をまるっと全部引き継ぐもの(一般承継)なので、被合併会社が秘密裡に抱える簿外債務なんかを取り込んでしまうリスクがあるのです。その点、株式交換や株式移転であれば完全親会社側の安全性が確保できるため、広く行われるようになったのですね。また、会社分割は事業譲渡と同じく会社の事業(の一部)を他の会社に移すことですが、事業譲渡と違って債務を移すのに個々の債権者の承諾を得る必要はなく、事業の買収や業務提携を会社主導で推進できます。バブル崩壊後の企業再編を制度面から後押ししようとしてたんでしょうかね。そして令和3年には、株式交換のような完全親会社・完全子会社の関係にならなくてもいいけど親会社・子会社の関係は作りたいとのニーズに対応する株式交付という制度もスタートしました。そんなわけで現在の組織再編は、単純に強い会社が弱い会社を飲み込んでしまうみたいな話ではなく、いろんな関係性を作り上げることができます。これらを外野から見ているだけなら楽しいのですが…しかし試験に出題されるとなると覚えるべきことが増えているわけで、受験生にとっては負担になるのですよね^^;

 

組織再編の中で、必要か不要かがバラバラで分かりにくいのが債権者保護手続ですかね。いつも常に必要というわけではないけど、必要な場合にやってないと組織再編自体が無効になってしまいます。特に、会社分割に関しては他のタイプの組織再編には見られない要件があったりしますよね。そこでタイプごとに、債権者保護手続をまとめておきたいと思います。

 

●合併

合併は、いくつかの会社が一つの会社に統合されるタイプの組織再編です。既存の会社が存続し、そこに別の会社が一体化する吸収合併と、いくつかの会社が新しく会社を設立し、そこにそれらいくつかの会社が一体化する新設合併とがあります。で、吸収合併にしても新設合併にしても、一体化される側の会社は消滅します。そして消滅会社が持っていた権利や義務が、そっくりそのまま存続会社・新設会社に受け継がれる(一般承継)ところが、合併の特徴と言えるでしょう。会社同士の相続みたいなもん、と考えることができますね。ただし、相続は相続が開始してから相続人とされた人が相続を承認したり放棄したりしますが、合併の場合は事前にどうするか考えることができるところが違っています。債権者保護手続がまさにそういう機会なわけですよね。

それで、合併といえば吸収合併が大多数で、新設合併はあまり利用されていないというのが現実なのだそうですよ。その理由は、新設合併の方がコストがかかるから。消滅会社から承継会社にまるっと全部の権利義務が移転するのだから、たとえば不動産の所有権や抵当権・根抵当権について移転登記や変更登記が必要になります。このとき、吸収合併では存続会社側は権利義務が移転するわけではないから何もしなくて良いのですが、新設合併の場合は消滅会社の権利義務すべてについて手続をしなければいけません。登記の費用だけでもバカになりませんよね。ということで、新設合併よりも吸収合併の方が盛んに行われているのでした。

 

ここから本題の債権者保護手続の話です笑 合併の場合、相手方の財務状況が劣悪だと債権者を害します。そこで、存続会社の債権者も、消滅会社の債権者も、異議を述べることができます。一方、新設合併の新設会社は合併前には存在せず(設立されていないからです)、債権者もいないので、債権者保護手続は不要です。

 

株式交換・株式移転

株式交換は、株式交換完全子会社となる会社の株主が株式を株式交換完全親会社となる会社に移転し、その対価として株式交換完全親会社の株式その他の財産を受け取る、という再編手法です。株式移転は、完全親会社となる会社を新設して、そこに完全子会社の株主の株式をすべて移転させます。こういうとまるで完全子会社側の株主が移転するかどうかの主導権を握っているかのような感じがしますが、実際にはM&Aの一類型として、株式交換完全親会社が株式交換完全子会社の株主をキャッシュアウトする手段として使われるそうです。最近の有名企業の例では、ヤマダホールディングスと大塚家具がヤマダ側を完全親会社とする株式交換を実施していますね。

 

上にも書いた通り、株式交換は完全親会社が自社の株式を発行して、それを対価として子会社の株式を取得します。これって、資産が増えて債務は変わりませんね。また、完全子会社は株主の構成が変わるだけで資産に変動はありません。だから債権者目線では、この場合は影響を受けないのですね。影響がないから債権者保護手続も必要ない、ということになります。

それでまず、株式交換完全親会社は、株式交換対価として完全親会社の株式またはそれに準ずるもの以外のものを交付する場合に債権者保護手続が必要になります。「それに準ずるもの」というのは、交付する株式数の調整をする範囲内で金銭を交付するようなことが想定されているようです。つまり「株式またはそれに準ずるもの」とは、要するに株式ですね。そして「以外」は株式以外ということです。つまり全体としては、株式ではない金銭や社債などを交付するときは、債権者保護手続をしなければいけない、という意味になります。これは、交付する財産が多すぎると親会社にダメージがあるからです。

もう一つ、完全親会社が完全子会社の発行する新株予約権社債を承継する場合、完全親会社の債権者は異議を述べることができます。おっと、その前に、株式交換では子会社の株式をすべて取得するのと同時に、子会社の新株予約権も取得できます。株式交換は完全親子会社の関係を作ることが目的であるところ、完全子会社の新株予約権が残存して後になってから完全親会社以外の株主が新しく出てくるのは不都合だからです。そして、新株予約権社債がセットになった新株予約権社債は、新株予約権社債とを別々に処分することはできないのでした。そこで、新株予約権社債新株予約権を完全親会社が取得するには、社債の部分も一緒に取得することになるのですね。で、親会社が新株予約権社債を取得すると、それだけ債務が増えることになります。これは債権者からすると無視できない話なので、債権者保護手続が要求されるわけなのです。

株式交換・株式移転完全子会社側では、完全親会社が完全子会社の新株予約権社債を承継する場合に債権者保護手続が必要になります。これは、社債権者から見ると完全親会社が免責的債務引受をしたようなものだからですね。

 

株式移転完全親会社は新設会社なので、債権者はいません。なので債権者保護手続も不要です。

 

●株式交付

令和元年改正で登場し、令和3年から施行となった新しい組織再編の手段です。これは子会社となる会社の株主や新株予約権者が株式や新株予約権を親会社となる会社に譲渡し、その対価として子会社となる会社の株主に親会社となる会社の株式を交付して親会社子会社の関係を作り出すものです。つまり、親会社となる会社と、子会社となる会社の株主が当事者となるのです。しかし、子会社自体は手続きに関わらないところが他の組織再編と大きく違うところ。子会社の立場としては株主構成が変化するだけで手続きに関係しないのだから、子会社の債権者にも影響はありません。したがって、株式交付子会社の債権者保護手続は不要です。試験で株式交付が出題されたら、ちょっと楽でいいですね笑

 

株式交付親会社の方は、対価として支払う財産が親会社の株式またはそれに準ずるもの以外のときは債権者保護手続が必要です。これは株式交換と同じですね。つまり現金が出ていくのは即ち資産の流出だし、社債を発行するのは債務が増えるのと同じで、債権者にとって好ましくないということです。

 

なんかまた長くなってきたので、会社分割は次回で^^;

苦手意識^^;

苦手意識というものが一度芽生えてしまうと、払拭するのは難しくてやっかいです。自分は商業登記法がどうにも苦手でやりにくい科目だな…と思ってしまっているのですが、本番までに何とかなるでしょうか? いやいや、絶対に何とかしなければいけないのですよねぇ…。何しろ多肢択一で8問も出るし記述式もあるし、合否に直結する主要科目の一つなのです。分からないところは基本から理解などと悠長なことを言っているのではなく、主だったところを丸暗記してでもやらなければ合格はおぼつかないでしょう。まあ、直前期の今になって何言ってるんだと思われそうですけど、そうは言っても苦手なものは苦手なのですよ笑

 

なぜ苦手意識を持ってしまうのかと言えば、やはり何をしているのか、何の話なのか具体的なイメージができないということが大きいと思います。登記手続というもの自体、司法書士にならなければほとんど関わることがないのだからそれはやむを得ないのですけど、それでも不動産登記法は土地や建物を想像すれば、問題文に出てくる状況を何となく掴むことができます。でも商業登記法はそれも難しい感じがしますよね。たとえば普段の取締役会なんて開催されたとしても見た目はただの会議でしょうし、そこで議事録に誰が記名押印するかとか、届出印があるかないかとか言われても、今ひとつピンとこないのです。だから試験対策的には丸暗記ってことになりますが、商業登記法はそういうところが多過ぎて、ただ知識の有無を問うクイズみたいになってしまうのです。そして、丸暗記と思うと途端につまらなくなってしまいますよね。そうするともう勉強する気が起きなくて、さらなる苦手意識につながる悪循環に陥るという^^;

 

それから、引っかけ的に細かいところを聞いてくるというのはどの科目にもあり得るのですけど、商業登記法はそういうのが特に陰険な感じがします笑 たとえばこちら。

株式移転完全子会社が種類株式発行会社である場合において、株式移転により株式移転完全子会社の株主に対して交付する株式移転完全親株式会社の株式の一部が譲渡制限株式であるときは、当該株式移転の登記の申請書には、当該譲渡制限株式の割当てを受けるすべての種類の株式に係る当該各種類の株式の種類株主を構成員とする各種株主総会の議事録を添付しなければならない。(平成20年 問32-オ)

答えは×なのですが…種類株式の株主に譲渡制限株式を交付するのだから、割当てを受ける種類株主としては文句の一つも言いたくなる、という場合があるでしょう。それなら種類株主総会の決議が必要になるのでは?と考えます。つまり、A種類株式、B種類株式、C種類株式、…を発行している株式会社が株式移転完全子会社になるとして、A種類株式とB種類株式の株主に株式移転完全親会社の譲渡制限株式が割り当てられるとしたら、もちろんA種類株式とB種類株式それぞれの種類株主総会が必要だ!と思ってしまいますよね。

ところが、種類株式総会が必要でなくなる例外があるのです。それがこちら。

●ある種類の種類株式について、種類株主総会の議決を要しない旨の定款の定めがある

●議決権を行使できる種類株主がいない

上の例で言えば、たとえばA種類株式には種類株主総会の議決を要しない旨の定款の定めがあるか、議決権を行使できるA種類株主が存在しない場合は、親会社の譲渡制限株式がA種類株主とB種類株主に割り当てられたとしても、A種類株式の種類株主総会の議決は不要ということなのです。するとB種類株式総会の議決は必要だけどA種類株式総会の議決は必要ないから、問題文の中で「すべての種類の…」と言っているところが誤り、ということになります。…まあ、種明かしされればすごく単純なことなんですけど、何となく他の科目とは別種の底意地の悪さを感じてしまうのです笑

 

記述式の方も、なかなか難しいのですよねぇ。自分が気が付かなくて悔しい思いをしたのが平成29年の問題。ある会社が普通株式と甲種株式の2種類の種類株式を発行していて、新たに乙種株式を発行した、というところ。問題の資料の中に登記記録があって、そこに「当会社の普通株式及び甲種株式を譲渡により取得するには、当会社の承認を要する」という譲渡制限規定があるのです。また、ご丁寧に定款も付属していて、その中にもこの規定が明記されています。普通株式と甲種株式のどちらにも譲渡制限がかかっているから、この会社は非公開会社というわけなのですね。で、ある時点での臨時株主総会で乙種株式を発行するのですけど、普通株式と甲種株式だけに譲渡制限を付している定款の定めは変更されません。したがってこの会社の譲渡制限株式は普通株式と甲種株式だけで、新規に発行した乙種株式は譲渡制限株式ではなく、譲渡制限のない株式を発行したこの会社は公開会社に移行したということになるのです。非公開会社が公開会社になると、取締役と監査役の任期が満了するし、取扱いが異なる事がらがたくさんありますよね。ということで、それらの登記をさせるのがこの問題の出題意図だというのですが…。最初に解いたとき、自分は完全に見落としてまったく気が付きませんでした笑

といっても、株式譲渡制限規定があるな〜と思ったら、その中身まで確認ってなかなかできないですよねぇ(自分だけかな^^;)。不注意だと言われれば返す言葉もありませんが、何とも嫌な気持ちになります。逆に、こういうところがパッと分かるようになると、商業登記法の記述式を解くのも楽しくなるかもしれませんが。本番までに、そういう域までいけるかなー? 不安^^;

 

…今自分が書いたものを読み返して思ったのですが、どちらも種類株式のところで引っかかっているのですよね。自覚してなかったけどここが弱点てことかな? きちんと整理して押さえておかなくちゃ。

不動産にまつわる特約

民法不動産登記法のテキストを読んでいると、不動産の賃貸借や抵当権の設定契約にさまざまな特約を付けることができるのだ、という説明があったりします。賃借権の譲渡・転貸を認める旨の特約とか、抵当権の効力が及ぶ範囲についての特約とかが具体例として出てきますね。テキストで解説される特約というのは、社会に相当程度浸透した一般的なものと思って良いのかもしれないのですけど、司法書士試験の中には今まで見たことも聞いたこともなかった話が出てくることがあるのです。最初に問題を見たときに解けなくて、解説を読んでなんだこりゃ!知るか!と腹立たしい気分になりました笑 以下、そんな不動産にまつわる特約を挙げてみたいと思います。

 

●敷引特約

居住用の家屋の賃貸借において,敷金の名目で交付された金銭のうち一定額を賃貸借契約の終了時に返還しない旨の特約は,返還しない部分がいわゆる礼金に当たることが明確に合意されていても,災害により家屋が滅失して賃貸借契約が終了した場合については適用することができない。(平成29年 問18-ア)

不動産を賃貸するとき、敷金・礼金というものを支払いますよね。このうち敷金は、不動産を損傷したり賃料を滞納したりした場合の担保として賃貸人に交付するお金のことです。賃貸借契約が終了して賃貸人に不動産を返還すると、原状回復費用や未払賃料を差し引いた分が賃借人に戻ってきます。礼金は、文字通り賃貸人へのお礼という意味合いのお金です。契約時に1回だけ支払い、契約終了時に返還されません。昔は賃貸物件が少なかったし、大家が店子の世話をすることも多々あったので、大家に対して感謝の気持ちを表したということのようですが、今は敷金礼金のない「ゼロゼロ物件」も増えていますね。昔とはいろいろ事情が違いますからねぇ。

で、敷金礼金のうちの敷金について、賃貸借契約終了時にそのうちの一定金額または一定割合を返還しない旨の特約をすることができます。これを「敷引特約」といいます。西日本で多く見られ、「保証金2ヶ月・敷引1ヶ月」みたいな形で表示されているそうです。この場合、賃貸借契約時に保証金として賃料2ヶ月分を入れ、契約終了時に敷引1ヶ月分を差し引いた1ヶ月分が戻ってくるわけでしょうかね。それで敷引特約は原則有効なのですが、災害により家屋が滅失して賃貸借契約が終了したときは、特段の事情がない限り特約を適用することはできない(最判H10.9.3)とされています。一般に、賃貸借契約が火災、震災、風水害その他の災害により当事者が予期していない時期に終了した場合についてまで敷引金を返還しないとの合意が成立していたと解することはできないからです。しかし「いわゆる礼金として合意された場合のように当事者間に明確な合意が存する場合」のように特段の事情があれば別とも言っているので、答えは×です。…しかしこれ、本番の会場で読んでも自分には解けなかったと思います。帰宅してから解答速報と解説を見て、あぁそうですか…と黄昏れてしまうでしょうね^^;

 

●代位権不行使特約

以下2つの問題は、Bの債務について、甲土地と乙土地にAの1番共同抵当権が設定された後、甲土地にCの2番抵当権が設定されたケースです。

甲土地をEが、乙土地をBが所有し、AE間に「Eが弁済等によって取得する権利は、AとBとの取引が継続している限りAの同意がなければ行使しません。」との特約がある場合において、Aが甲土地に設定された抵当権を実行してその代価から4000万円の配当を受けた後、Aが乙土地に設定された抵当権を実行したときは、Cは、乙土地の代価から配当をうけることができない。(平成28年 問14-エ)

物上保証人Eの甲土地と、債務者Bの乙土地が共同抵当に入っていて、異時配当によって甲土地から実行されたのですね。この場合EはAの乙土地の抵当権に当然に代位し、さらにそれをCが物上代位できるのでした。ところがここでは、「Eが弁済等によって取得する権利」はAの同意がなければ行使しない、との特約があります。つまりEがAに代位するにはAの同意が必要だというのです。そして、EがAに代位しないと、Cが物上代位しようにもできない=乙土地から配当を受けられない、という事態に陥ってしまいます。こういう物上保証人の代位権不行使の特約は後順位抵当権者に対しても有効かということですが、答えは×です。

判例は「かかる特約は、後順位抵当権者が物上保証人の取得した抵当権から優先弁済を受ける権利を左右するものではない」(最判S60.5.23)としました。その理由として、この特約はEが弁済したときにAの意に反して独自に抵当権を実行することを禁止するというだけで、すでにAの申立てによって抵当権が実行されている場合にCの権利を消滅させる効力はないから、と述べています。要するに、AE間の特約はAE間では有効だけどCには関係ない、ということですね。Cの与り知らぬところで何か約束があっても、それにCが従う謂われはないのです。よく考えれば当たり前の話ですが、コレが本番で出題されたら慌てるでしょうねぇ…自分は最初にこの問題文を読んだとき、何を言っているのか状況がさっぱり理解できませんでしたよ^^;

 

●担保保存義務免除特約

甲土地をEが,乙土地をBが所有し,AE間に「Eは,Aがその都合によって担保又はその他の保証を変更,解除しても免責を主張しません。」との特約がある場合において,Aが乙土地に設定された抵当権を放棄した後,FがEから甲土地を買い受けたときは,Fは,甲土地に設定されたAの第1順位の抵当権の抹消登記手続を請求することができる。(平成28年 問14-オ)

民法504条に「担保保存義務」についての規定があります。これは、保証人や物上保証人を保護するために、債権者に対して担保の維持を求めるものです。この問題で言えば、Aが解除や放棄によって抵当権を失うと、EはAの抵当権に代位することができなくなってしまいます。それではEを害するので、Aに担保を維持する義務を課しているのです。もしAが故意又は過失によって義務に違反したときは、Eは本来代位できるはずだった範囲で免責されます。ただし、特約でこの義務を免除することも可能で、実際金融機関が抵当権者となるときは免除特約が入っていることが多いそうですよ。そして債権者の義務が免除されると、物上保証人は免責されなくなります。
この問題ではAの担保保存義務免除特約があり、Aが乙土地の抵当権を放棄しているので、Eは特約によって免責の効果を主張できませんね。その後Eが第三取得者Fに甲土地を譲渡していますが、こういう場合はFもEと同様に免責の効果を主張できないとされています(最判H7.6.23)。第三取得者への譲渡によって、改めて免責の効果が生ずることにはならないからです。となるとFは、免責の効果が生じていない、担保の負担の付いたままの甲土地を取得したことになるわけで、抵当権の抹消登記手続は請求できません。したがって答えは×です。…いやでも、こんなの知らないし解答できないよなぁ笑

 

これらの特約の存在や内容は、自分が知らなかったというだけで、不動産業界などで働く人にとっては常識なのかもしれません。また、平成28年の問題にしても平成29年の問題にしても、選択肢を5つともきちんと読むと明らかに正しい選択肢が他に2つ見付かるので、特約のことが分からなくても解けるようになってはいるのですね(特に平成28年の問題は、上から順番に読んでいけば選択肢ウまで読んだ段階で正解が出せるので、ここに挙げた選択肢エと選択肢オは読む必要がないのです)。とはいえ、精神的に余裕のない状態でこんな問題に遭遇したら頭真っ白になってもおかしくないような。何にしても、冷静さを保つのが大事ですね^^;

相続人多すぎ!

所有者不明の土地や空き家の問題が発生する最大の原因は、相続登記がちゃんと行われていないから、とされていますね。今までは相続が発生してもすぐには登記手続をせず、実際に不動産を処分するときになって、その前提として相続による移転登記などを入れるということが多かったそうです。何しろ不動産登記のうち権利の登記は義務ではないし、仮に名義が被相続人のままでも相続人が特に何か困るってことがなかったのですよね。司法書士試験の不動産登記法の問題でも、数年前の相続の登記を今やるって設定で普通に出題されているのは、そういう風に手続が進むのが一般的だからなのでしょう。

しかしまあ、1世代分(親→子とか)の相続登記が先延ばしにされているだけという程度なら、数年くらい経ってもあまり問題はないのかもしれませんが、これが2世代、3世代、あるいはそれ以上に渡って放置されると、複雑さが急激に増していくのですよね。たとえば1人の被相続人に2人の相続人がいるとすると、1世代分なら関係者は2人ですが、これが2世代なら4人、3世代なら8人、4世代なら16人と、2の累乗倍で増加してしまうのです。しかも3世代4世代それ以上も離れてしまうと、被相続人のことなんてまったく知らないって場合も多いでしょうし、しかも自分が相続するとされる権利は微々たるものだし(すべての世代が法定相続分で相続すると、4世代目の人は16分の1しか権利がないのですからね)、相続するにしても放棄するにしても手続に非協力的な人が出てきてしまうのは無理もない感じがします。現在の戦後民法になってからでも既に70年以上の時間が経過しており、1世代を30年と考えるともう4世代目に入っているのですよ。だから相続登記を放置してたら関係者が何十人にも膨れ上がっていた…というのは決して大げさな話ではないのです。このような事態を未然に防ぐために、2024年度(令和6年度)から相続登記が義務化されることになったわけなのですよね。

 

上記のような状況が、さらに悪い形で現れるとこんな感じになるそうです。

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93人は多すぎィ! しかしこれはスゴイですよね。元々の所有者は江戸時代に生まれた人だったところ、そこから子孫が繁栄して現在の相続人が93人もいるのです^^; 1940年に家督相続したとのことで、江戸時代が終わったのは1867年だから、元々の所有者は家督相続時点で少なくとも70代だったのでしょうか。そして、昔は兄弟姉妹が多かったというのが、この事例で相続人の数が増えて問題が複雑化する方向にしっかりとブーストかけてしまってますね。

 

姫路市役所の方が「まったく価値がないように見えてもそれは財産であり、役所が何の手続きもなくどうにかしてしまうことはできない」とおっしゃってますけど、このコメントには自治体の苦悩がストレートに吐露されてますよねぇ。近所の方々は危険だから何とかしてくれと市役所に再三申し入れていたそうですが、確かにこれは他人の財産なのであって、自治体といえども勝手に処理するわけにはいかないのです。地道に相続人を探して、手続きに協力してくれるようにお願いするしかない…ということで、何年にも渡って作業が続くわけです。でも、関係者が100人近くにまでなってしまったら、まともに話し合いで合意を取り付けるなんてほとんど不可能な気もしますよね。この事例を担当する人は市役所の中でも1人か2人か、非常に限られた人数でしかないのでしょうし、それで90人以上の相続人を相手するのは圧倒的にマンパワーが足りなさそう。そして手続きに時間がかかっているうちに、さらに新しく相続が開始して相続人が増えることも当然あるでしょうから、キリがないですね。こういうことが日本全国あちこちで起こるとしたら、これは大問題と言われているのも理解できます。

 

こういう問題が起こってしまうのは相続手続きがきちんと行われないからであるとすれば、生きているうちから相続についての準備をするきっかけ作りというか、不動産を個人で所有する場合はいつの日か相続の手続きが必要になるってことを周知する仕組みが必要なのでしょうね。上の事例では、元々の所有者も、家督相続した長男も、改正民法施行後に相続した兄弟姉妹も、そしてその子供や孫の世代の方々も、誰も手続の必要性を認識してなかったってことですから。とはいえ、自分の祖父母や曾祖父母あたりの財産までは何となく知っているかもしれないとしても、それより遠い親戚がどこかに所有している不動産なんて存在自体を知りようがないし、存在を知らなければ手続きのしようもないわけです。ある日突然今まで一度も行ったことのない土地の自治体から「あなたの持分は2048分の1です解体費を支払って下さい」とか言われても納得できる人なんていないでしょうね^^;

また、この事例のように何年も放置された不動産の状態が劣悪で早急に手当する必要があるとか、あるいは災害復興のために処分が必要とかいうことになったら、相続人全員の合意がなくても手続が進められるような仕組みを作ったらどうか、とも思います。たとえば会社法では、株主総会の決議(=株主全員の総意とは限らない)によって会社分割をして権利義務を移転したり、社債権者集会の決議(=社債権者全員の総意とは限らない)によって社債元利金の減免ができたりしますよね。そこで上の事例のような場合も、相続人集会の決議で処分の仕方を決められるとかしたらどうでしょう? 遺産分割協議では全員の合意が必要になるのに対し、相続人集会の決議なら多数決原理で決めていけそうです。まあでも相続人集会といっても、そもそも個人の財産の帰趨を多数決で決めてよいのか、決議すべき議案の中身は誰が考えるのか、集会は誰が招集するのか、などなどちょっと考えただけでもハードルが高そうですが、上の事例のようなよっぽどのケースでは仕方ないのではないか、という気がしますね。

 

上に書いた通り2024年から相続登記が義務化されます。これは2024年4月1日以降に発生した相続だけでなく、それ以前の相続で登記未了になっている分にも適用され、何の手続きもせずに放置すると10万円以下の過料を科される場合があります。権利の登記はするもしないも自由という今までの原則を変更(しかも罰則あり)するのだから、国の危機感も相当なものなのでしょう。取りあえず、相続登記をしなければいけない!ということをもっと知ってもらうために、危機感をあおる広報活動などをもっとやったらどうかな~と思います^^;

5月になりました!

試験本番まであと2ヶ月、直前期真っ只中ですが皆さまいかがお過ごしでしょうか。自分は今月末で退職が決まり、6月からの1ヶ月間は専業受験生をやることになりました^^ 仕事に気を取られることなく勉強に専念できるのは有り難いことです。もっとも、この5月は残務処理があって微妙に忙しそうなのが何とも…ですけど。そういえば、世の中GWだし、今年は緊急事態宣言もまん防も解除されているので、心置きなく遊びにいけるのですよねぇ。来年は気楽に休みが楽しめるといいなぁ。あ、でも今回の試験に合格すると、ちょうど来年のこの時期は新人として働きながら認定考査に向けた勉強をしているのでしょうかね。う~ん、気楽な休みなんてまだまだ先の話だな^^;

 

一昨日はLECの全国公開模試1回目があり、水道橋で受けてきました。この時期の模試は力試しとしても、予想問題としても重要ですよねぇ。それでまず多肢択一の成績は、午前27問午後28問でした。午前酷いですね^^; 会社法が結構ダメだったなぁ…。迷って迷って、最初はコレだと思ったけど見直してるうちに違う気がしてきたから答えをコレに変えよう!ってやったところが全部間違えてました。過去問はまあまあ解けるようになった気でいましたが、もっと勉強しなければ。というか過去問を繰り返す時間を少し減らして、GW中にテキストを読み返しておこうと思います。逆に午後はいつもよりずっと易しく感じました。特に不動産登記法16問を全問正解できたのは嬉しいです^^ 解くのにかかった時間も、そんなに急いでいたつもりもないのに50分ほどで解けてしまいました。まあ、今回は難易度低めってことだったのでしょう。

多肢択一を解き終わって、今日は時間があるな〜と余裕な気分で読み始めた記述式の問題は、自分にはちょっと難しく感じました。不動産登記法は、最初の解答欄に原稿用紙のようなマス目が並んでいてちょっとビビります笑 でも事実関係がすごく単純で、たったこれだけ?という感じなのですが、相続と遺贈が絡み合って登記の申請件数は多いのですよねぇ。さらに、信託の関係する問題もありました。相続登記の義務化に伴って相続や遺贈が複雑にからまる事例は増えそうですし、信託も今後増えていくでしょうから、時代の流れに乗ったというか、確かに本番で聞かれそうなことだなぁと思いました。そして商業登記法は、お馴染みの役員変更に取締役会の廃止がプラスされていた他、取得条項付新株予約権の取得と引換えにする新株発行や、商号変更、本店移転、支配人を置いた営業所の移転など、こちらも盛りだくさんな内容でした。そして「登記できないことがあったら書きなさい」というタイプの問題が出て、結構必死に探したんですけど見付からず、こんなのじゃないよなぁ…と思いながら適当に解答欄を埋めたなのですけど、正解を見たら登記できない事項はなかったのでした^^; う〜む、会社法商業登記法は本番までにもうちょっと強化しないといけませんね。結局のところ、不動産登記法商業登記法の両方を書き上げるのに2時間あまりを丸々使い切ってしまいました。迷う時間が結構長くて時間がもったいないので、思い切りよくやるべきなのかな…という気もしますね笑

 

ところで、明日から受験申請が始まりますね。先日受験申請書を取り寄せて記入したんですけど、昨年とまったく同じ形式で、何カ所にも住所氏名等を書き込まなければいけないものでした。いやぁ相変わらず面倒です笑 そうそう、写真が5cm×5cmという珍しいサイズなんですよね。普通の履歴書サイズと言われているのが4cm×3cmで、それより一回り大きいのです。土地家屋調査士も同じサイズなのだそうですが…他ではちょっと見たことないような。でも、この特殊なサイズの写真が必要になるのは今回の試験が最後で、次回(2023年度)からは4.5cm×3.5cmのいわゆるパスポートサイズとなり、撮影時期も提出前3ヶ月から6ヶ月に緩和されます。ま、大人なんだから3ヶ月だろうが半年だろうが1年だろうが見た目の変化なんてほとんどないですもんね。つい先日、散髪して写真を撮ってきたのでそれを貼り付けて、明日東京法務局に出してこようと思います。

 

ちなみに、東京での受験会場は早稲田大学のみとなってます。前回は会場が2カ所あり、まずは水道橋の日本大学で、そこがいっぱいになると早稲田大学ってことだったのです。自分が受験したのは日本大学でしたよ。で、早稲田で受験したい人は申請書の提出を何日か遅らせるみたいなことがあったようですね。しかし今回は受験地を東京にすると必ず早稲田大学になるので、とっとと提出するのが良いと思います。それにしても、前回よりも受験者数が少ないと予想されているのでしょうかね…。

 

ということで、大事な時期なので頑張りましょう^^

供託法の勉強

供託という手続きも、普通の生活をしていたらほとんど接する機会のないものですよね。国がお金や物を預かる…と言えばそうなのですが、銀行やトランクルームと違って何でもかんでも預かってくれるわけではありません。供託とは、ある財産を供託所に提出して管理を委ね、その財産をある人に受領させることによって、何らかの法律上の効果を得るという制度です。法律上の効果を得る、というときに預かってくれるのですよね。で、供託の手続きは司法書士が代理できるので、試験の範囲にも含まれているわけなのです。

ただ、自分が供託のことを初めてまともに知ったのは宅建の勉強をしたときでした。宅建業者は、営業保証金として主たる営業所について1,000万円、その他の営業所1か所について500万円を、主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければいけません(保証協会による弁済業務保証制度もありますけど)。宅建業者と消費者との間でトラブルがあったとき、宅建業者が消費者に対して損害賠償をするための資力を担保するために保証金を供託させるのだ、というような説明をテキストで読んで、なるほど〜供託というのはそうやって利用するものなんだなぁと思いました。つまりこれは営業保証供託というものですけど、供託は公益的な意味で使われるものなのだ、というイメージを持ったのでした。しかし、営業保証供託は供託の中でもほんの一部分で、司法書士試験においては頻出ということでもないのですよね^^;

 

司法書士試験で供託といったら、一番勉強するのは休眠担保権の抹消のところでしょうか。はっきり言って、供託法よりも勉強しますよね笑 まあ、供託しなければいけないってことを覚えるだけですけど、昔の抵当権を抹消する話は設定日が大正や明治にまで遡り、債権額が何円何銭で供託すべき金額は数百円レベル、なんてことがいろいろ出てきて面白いです。仕事として依頼されたら面倒なのかもしれませんが…。それはともかく、休眠担保権の抹消は多肢択一でも記述でも出題されており、仕事に必要な知識なんだろうな〜と思いながら解いているわけです。たとえば多肢択一ではこんな感じ。

抵当権者の所在が知れない場合において、被担保債権の弁済期から20年を経過したときは、所有権の登記名義人は、申請情報と併せて、弁済期を証する情報及び供託をしたことを証する情報を提供すれば、単独で抵当権設定登記の抹消を申請することができる。(平成14年 問16-イ)

答えは×です。弁済期を証する情報、供託をしたことを証する情報に加えて、抵当権者の所在が知れないことを証する情報(所在不明証明情報)の提供が必要なのですよね。

また、記述ではこんな出題がありました。

(※「原因 昭和7年1月20日付借用証書」との記載がある1番抵当権が登記された土地について)

司法書士法務花子の説明] 抵当権者が行方不明のときに権利の登記を抹消する方法は、幾つかありまして、本件の場合には、例えば、(イ)被担保債権の弁済期から(X)年以上経過しているときは、被担保債権の元本と利息、遅延損害金を全額(Y)すれば、裁判の手続を利用しなくとも、乙土地の所有者が単独で抵当権の登記の抹消を申請することができることになっています。もう少し準備しないと断言することはできませんが、本件の場合には、この方法で申請するのが負担が少なく、よろしいのではないかと考えます。

 

問3 [司法書士法務花子の説明]中、(X)及び(Y)に入れるべき適切な語句を答案用紙の第3欄の(X)及び(Y)の各欄にそれぞれ記載しなさい。

問5 [司法書士法務花子の説明]の下線部(イ)に基づき申請した登記の申請情報の内容のうち、登記の目的、登記原因及びその日付、申請人の氏名又は名称、添付情報並びに登録免許税額を答案用紙の第5欄に記載しなさい。(平成24年

休眠担保権の抹消をストレートに聞いてきてますね。もちろん、問3の(X)は20、(Y)は供託で、問5は1番抵当権抹消の登記申請を記載していきます。ちなみに、昭和7年の抵当権を抹消するのに供託すべき金額をどうやって計算するのかというと、法務省から専用のソフトウェアをダウンロードしてそれを使うのだそうですよ。そして、金額が本当に正しいか、手続に不備がないかを、供託官と打ち合わせして確認するのだとか。まあ、やっぱりちょっと大変そうですね^^;

 

会社法にも、たまに供託が登場します。たとえば会社が譲渡制限株式の譲渡を認めず買い取る場合について、こんな問題が出てますね。

会社が当該譲渡制限株式の全部を買い取る旨の決定をし,当該株主に対し会社法所定の事項を通知しようとするときは,会社は,1株当たり純資産額に会社が買い取る当該譲渡制限株式の数を乗じて得た額をその本店の所在地の供託所に供託しなければならない。(平成26年 問29-ア)

株式会社が,譲渡制限株式の取得について承認をしない旨の決定をした場合において,当該譲渡制限株式を買い取る旨及び当該株式会社が買い取る当該譲渡制限株式の数を決定したときは,当該株式会社は,譲渡等承認請求者に対し,これらの事項を通知した上で,当該譲渡等承認請求者と当該譲渡制限株式の売買価格についての協議が調わないときは,1株当たり純資産額に当該株式会社が買い取る当該譲渡制限株式の数を乗じて得た額を供託所に供託しなければならない。(平成30年 問28-オ)

1株当たり純資産額×買い取る株式数=供託すべき金額ということです。これはでも、株式会社が供託の手続をするのだから、一般の人が関係することはほぼないと思いますし、イメージの湧く話ってわけではないですね。こういうのの実務って、どういう人がやるんでしょう? やっぱり司法書士に依頼しているのかな…。あ、問題の答えは、上が○、下が×です。協議が調わない場合に限らず、通知した上で供託しなければいけないのですよね。

 

世の中で供託が最もよく利用されるのは、家賃についての弁済供託だそうですよ。たとえば、月5万円の家賃を前月の末日までに大家さん(賃貸人)の自宅で支払うという契約が結ばれていて、あるとき賃借人が次の月の家賃を持参したら、大家さんからこの次の月から家賃を月10万円にしたいと言われてしまいました。賃借人としては、いきなりそんなことを言われても困るし、物件の状態や立地からして10万円は高すぎる、5万円は確かに格安としても、適正な家賃はせいぜい7万円くらいじゃないの?と思ったら、もう10万円は出せませんよね。とはいえ、前月の末日までに家賃を払わなければ、債務不履行で契約を解除されてしまうかもしれません。賃借人としてはそれも困ります。そこで次の月、賃借人が相当と思う家賃7万円を支払おうとしたのですが、大家さんは10万円でなければ受け取れないといって拒否したのでした。さてどうしたものか…というときに供託という手段が使われます。賃借人は相当と認める額の家賃(7万円)を供託することで、弁済したという法律上の効果が得られるわけですね。

それで、午後の多肢択一での供託法は、毎回3問出題されます。そしてその内容は過去問がほとんど変わらず出てくる、という話を聞いたことがあります。もしそれが本当なら、LECの合格ゾーンなんかで30年分くらいの問題を集めて丸暗記すれば試験対策としては他にやることもない…ということになります。毎回3問として、30年分でも全部で90問だから確かに量は多くないし、不動産登記法商業登記法で時折かなりの難問が出題されることからすると、供託法は馴染みのない用語がたくさん出てくるのさえ我慢すれば確実に点の取れる割の良い科目なのかもしれません。でもなぁ…とりあえず、供託法の問題の一例を挙げてみましょうか^^;

執行供託に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

 

ア  金銭債権の一部について仮差押えの執行がされた場合において、その残余の部分を超えて滞納処分による差押えがされたときは、第三債務者は、その金銭債権の全額に相当する金銭を供託しなければならない。
イ  金銭債権が差し押さえられた場合において、第三債務者が差押金額に相当する金銭を供託するときは、執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。
ウ  金銭債権の一部が差し押さえられた場合において、第三債務者が差押えに係る債権の全額に相当する金銭を供託したときは、執行債務者は、供託金のうち、差押金額を超える部分の払渡しを受けることができる。
エ  金銭債権が差し押さえられ、第三債務者が差押金額に相当する金銭を供託した後、その差押命令の申立てが取り下げられた場合には、第三債務者は、供託原因が消滅したことを払渡請求事由として、供託金を取り戻すことができる。
オ  金銭債権が差し押さえられ、第三債務者が差押金額に相当する金銭を供託した後、執行裁判所が配当を実施した場合において、配当を受けるべき執行債権者が供託物の還付請求をするときは、供託物払渡請求書に当該裁判所が交付した証明書を添付しなければならない。

 

1 アイ 2 アオ 3 イエ 4 ウエ 5 ウオ (平成26年 問11)

最初は、これら5つの選択肢の内容がどういう意味なのかさっぱり分かりませんでした笑 執行供託はそれなりに出題数が多いのですが、こういう感じの問題が延々と続くのを丸暗記するのは結構な苦行に思えます。といって、供託は民法会社法とは違い、基本書を読んで理論を理解するという科目でもないですよね。自分はスタディングの講座だけでは中身が分からなかったのでオートマのテキストを読み、それでようやく手続きの意味(たとえば金銭の還付は払渡請求書1通でいいのに振替国債や有価証券では2通必要なのはなぜか、など)が大まかに分かるようになりました。

とはいえ、供託法が得意で絶対3問取れる!と断言できるほどではなく、何となくあやふやなまま模試など受けて、組み合わせに助けられて全滅は免れる…といった状態だったのですが、これではダメだと思い立って、この本を読んでみました。

 

供託にもこういう解説書あるんですねぇ…

上に書いたような家賃の事例のほか、売買代金の受取拒否や債権者不確知などの例を挙げて、法律関係と手続の仕方を解説してくれます。法務局に出向くとか供託のサイトにアクセスしてどうするかが、具体的にイメージできるようになりますよ。しかも事例ごとにOCR用紙の記入例が載っていて、根拠法令として何を書くのかとか、供託通知書の発送を希望する場合にチェックを入れる欄があるとか、供託通知書発送のためには切手が必要だとか、債権者不確知の場合は4号様式と9号様式を使って被供託者を複数記入しましょうとか、手取り足取り説明してくれるのです。さらに本書の後半では、供託の中でも特に何をやっているのか分かりにくい執行供託について、事例を使って実際の手続きの流れが分かるようになります^^

この本の説明ですごく面白いと思ったのは、民法の知識がきちんとベースに置かれているのだなぁ、ということです。債務の本旨に従った弁済とは何かということから、弁済の提供、債権や債務の相続、家賃債権債務が相続開始や遺産分割協議の前後いつ発生したかによる違いまで、民法の復習をガッツリとやってる気分になりました笑 こういう話になると、たとえば代理人の資格を証する書面は添付するのか提示でいいのかみたいな純粋に手続き的なことよりも法律の勉強て感じで楽しいですね。それから執行供託のところは、民事執行法の知識がいろいろ出てきます。民事執行法もなかなか対策しにくいところですけど、供託と絡めて制度の中身を知ることができるのは有り難いです。試験本番でそのへんのところが出題されると都合が良いのですけど…そこまで上手くはいかないでしょうかね^^;

 

そろそろ供託法も仕上げていかなければいけないタイミングなので、ずっと過去問をやり続けて何だかワケが分からなくなったときには、この本分かりやすくてイイと思いますよ~。ちょっとでも楽しいとか面白いと思えるものを読みたいですよね^^