目指せ!47歳からの司法書士受験!

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どうすればいいの?

民法に債権譲渡ってのが出てきますよね。意味は文字通り債権を譲渡人から譲受人へ譲渡することです。過去問によく出てくるのは対抗要件で、第三者に対抗するには確定日付のある譲渡人からの通知か債務者の承諾となっております。

 

で。債権が譲受人Aと譲受人Bとに二重譲渡されたとしましょう。しかも、Aへの譲渡の通知もBへの譲渡の通知も確定日付のある通知がなされ、それらが同時に債務者のところへ到達したとします。この場合、AとBはそれぞれどうなるのでしょうか?

これ、自分が最初に見たのは(司法書士の勉強を始める前に読んでいた)行政書士民法のテキストでした。へぇ〜言われてみれば確かにそんなこともあり得るよね〜と思っていたら、司法書士民法の講義にもまったく同じ事例が出てきました。確かに、こういうときにどうやってAとBの優先順位を決めるのか、とても興味をそそられるところですね。

 

ということで答えなのですが、行政書士のテキストも司法書士の講義もほとんど同じで「AもBも、自分の債権額全額の支払いを債務者に請求できる」です。これを聞いて、あ、そうなんだ〜AもBもちゃんと全額請求できるんだ〜良かったね、と思いました。

しかし…この答えスッキリしませんね〜。債務者の立場で考えてみると、同時にAとBの2人から同じ債務について請求されているわけで、どちらに弁済すれば良いかはこの答えからは分かりません。AとBの優先順位については何も言ってないのですからね。債権者が請求できるのはいいけど、じゃあ債務者はどうすればいいの?という疑問が残ってモヤモヤします^^;

 

調べてみると、こういう場合の債務者はAかBかどちらか一方に弁済すればよく、それで債権が消滅し、他方へは支払わなくてよいのです。または、債権者不確知で供託することもできます(※追記:債権者不確知で供託できるのは、通知の到達の先後が不明な場合でした。同時到達の場合は、先に請求された方に支払えばよいという理由で供託できないそうです)。そして供託したら結局のところ、かち合ってしまったAとBの債権額によって按分した供託金還付請求権を取得することになるそうです(最判H5.3.30)。つまりこの例では、AとBがきっちり半分ずつで痛み分けってことになるのですかね。

と、ここまで言ってくれれば、債務者がどうすればいいか分かるし、最終的なお金の分配まで決着が付いて一件落着って感じがします。ストーリーが最後まで進んで完結したというか。しかもたったこれだけの話なのだから、テキストも講義もちょこっと説明を追加してくれるだけでモヤモヤせずに済んだし、このエントリを書くための時間も取らずに済んだのに…と思わなくもありません(笑)

 

どうしてストーリーの途中で中途半端に終わるような答えになるのかというと、試験の問題がそうだったからなのだと思います。手元の合格ゾーン過去問集を探してみたところ、司法書士試験では平成9年と平成14年に同時到達の話が選択肢の一つとして出題されており、どちらも2人の債権者がそれぞれ全額請求できることを知っているかどうかを聞いています。これは昭和55年1月11日の判例なのですね。司法書士試験では平成9年と平成14年に同じ判例をベースにした問題を出し、それによって講座の内容が決まるから、債権者が全額請求できる…というところで話が止まってしまうのでしょう。はぁ、ちょっとスッキリした^^;

 

もう平成も終わって令和に入ったのですから、債権譲渡についての出題はぜひ平成5年の判例まで入れてほしいですね〜。そうすればテキストも講義の内容も、いかにも解決した!って内容になると思います。