特殊?な登記
司法書士は登記の専門家と言われていて、実際に試験範囲の中には不動産登記法と商業登記法が入っています。なので根抵当権の登記とか役員変更の登記なんかをガッツリ勉強するのですよね。でも、中にはちょっと変わった登記が出てくることがあります。たとえば工場抵当や工場財団がそういう登記です。で、たまたまネットで工場財団のことを調べていたら、とても興味深い本を見付けたので思わず買ってしまいました(笑)
工場抵当は、工場の土地建物だけでなく、そこに存在する機械や器具類までまとめて抵当権を設定して資金調達をする方法です。工場って個々の土地や建物には大した資産価値がないかもしれませんし、工場で一番重要な機械や器具類は不動産ではないから抵当権の設定はできません(抵当権の効力が及ぶような気もするし、及ばない気もする…ということが問題になるようです)。不動産に抵当権、動産に譲渡担保を設定する方法も考えられますが、手続きが面倒だし、抵当権と譲渡担保がバラバラに実行されると一つの工場として成り立たなくなってしまいますよね。土地建物を取られてしまったら機械器具を置いておけないし、機械器具を持っていかれたら土地建物だけあっても工場としての機能は果たせません。つまり工場は土地建物と機械器具類が組合せになることで大きな担保価値があると評価できるわけです。なので工場抵当という手段で一つの工場を丸ごと担保に入れるという制度が作られたのですね。
工場財団は、一つ一つの工場を要素とする集合みたいなイメージのようです。工場の土地、建物、機械器具類から、中に置いてある材料や完成した商品、地上権や賃借権、工場に勤める人の雇用関係、のれん代まで、工場を構成するいろいろなものが財団に含まれます。そして、この財団に一つの抵当権を設定できます。工場は一つのシステムとして機能するものだから、丸ごと全部をそのまま担保に入れるのが自然の成り行きだし、価値も大きいということですね。
それでこの本には、工場抵当や工場財団の登記について網羅的に解説されているのです。もちろん、今の段階でがっつり読む時間はないので買うだけ買って目次と「はじめに」というところだけ読んだんですけどね^^; それでAmazonで検索した限りでは、こういう工場抵当や工場財団の詳しい内容の本で最近発売されたものは他にないようです。工場抵当や工場財団抵当がどのくらい利用されているのかは分かりませんけど、こういう状況から考えて割と特殊な登記って感じなのでしょうね。
ところで、この手の特殊な登記の絡む仕事って、どうしたら携わることができるんでしょう? やはりそういう仕事の受注実績のある事務所に就職するのが一番の近道なんでしょうか。普通の会社の仕事でも、たいていは取引したことのあるところに発注するもので、新規参入なんてほとんどないのですし、それは司法書士も同じだと思います。もの凄くバイタリティに溢れている人ならどんな仕事でも取れるでしょうが自分はそうではないので…(笑) というわけで合格した暁には、即独するよりは、業務内容をよく聞いた上で事務所で修行した方がいいかな~と思えますね。う~ん。