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債権者と債務者

債権者=お金を貸す人、債務者=お金を借りる人とすると、一般的には債権者の方が圧倒的に立場が強く、ちょっとでも支払いが遅れたら強引な取り立てで債務者の人生を転落させる…みたいな感じのイメージありませんか? 自分がまだ若い頃、サラ金が社会問題になったことがあって、お金を借りると法外な金利を取られて、ヤクザみたいな風態の輩が脅迫的な言辞を弄して強圧的に返済を迫ってくるのだ…という刷り込みがあります(笑) 実際、サラ金の取り立てに耐えかねて一家心中なんてニュースが毎日のように報じられていた時期があったのです。サラ金への法的規制が強化され、金融再編に巻き込まれて銀行グループの傘下に収まった今も、ギリギリまでお金を借りたくないなぁ…と思ってしまいます。

でも民法などを勉強してみると、実は債権者って法的にキツイ縛りがあり、逆に債務者は厚く保護されているところがあるのに気が付きました。

 

▼債務者の土地に抵当権を付けているとか、裁判で勝訴して債務者の財産を差押さえるとか、確かに債権者のための制度はいろいろありますが、どれも手続きが厳格で時間がかかりますよね。貸した金を返しなさい!という場合に、債務者が素直に払わないからといって代わりにこの車をもらっていくよとか土地をもらうよ、みたいなことをいきなりやるわけにはいきません。債務者を訴えて勝訴判決を得て、それが確定しなければ強制執行はできません。裁判所が絡むのだから、求められる手続きは全部やらなければいけないし、費用も時間もかかります。その点債務者は、車なり土地なりの財産が手元にある間はまったく好きなように処分することができます。第三者に譲渡して対抗要件を備えられてしまったら、もう債権者は手出しができないのです。つまり債権者側はがんじがらめに縛られているのに、債務者側は何でも自由にできちゃうわけなんですよね。裁判を引き伸ばされている間に財産の隠蔽工作をされてしまったなんてことになったら、債権者としてはまったく納得がいきません^^;

 

▼上のようなことが起こるのは、つまり債権者は自力救済が禁止されているからですよね。法律で決められた通りの条件が揃ったときに、決められた通りの手続きを踏んで初めて、債権者は自分の持っている権利を行使する(債務者に強制執行する、など)ことができるのです。まあ、自力救済が完全には禁止されていなくて一部でも認められるなんて社会だったら、物理的な力のない普通の人々にとってはリアルな恐怖を感じる場面が多々出てきてしまうでしょうから自力救済の禁止は当然とは思うのですが、一方で債務者のフリーダムっぷりを考えると、もうちょっと迅速にカタを付けても良いのでは…という場合がありそうです。

 

○不動産の担保権(抵当権など)が実行される場合、その担保権の消滅や不存在など、実体上の瑕疵を理由とする執行抗告・執行異議の申立てが可能です。本来、執行抗告・執行異議は手続上の瑕疵に対して不服を申し立てる手段であり、実体上の瑕疵に対しては請求異議の訴えを起こして債務名義の執行力を排除する、というのが本来のやり方と思われます。しかし不動産担保権の実行については、債務者を保護する目的で簡易な救済手段を認めているのでした。抵当権の実行って別に債務名義による強制執行ってわけではありませんしね。かといって手続上の話じゃないんだから執行抗告・執行異議はできませんてことにしてしまうと、もし実体上の瑕疵があった場合に不服を申し立てる手段が何もなくなってしまう…ということなんでしょうかね。それなら、さすがに債務者に肩入れすべき、という気もしますけど。

 

▼ところで、金利がある程度のところで制限されているのも債務者の保護のためですよね。確かに、お金を持っている債権者が優位に立つのは当然で、xx %(←法を無視した暴利)の利率なら貸してやらんこともない、なんてことを言いかねませんからね。でも逆に、xx %(←法を無視した暴利)でもいいから貸してほしいという人だっているかもしれません。借りる方としては、その場で現金が手に入らなければ即倒産みたいに切羽詰まっていることもあるでしょうし、そのお金で立て直せる可能性があるのなら金利が高くても良いという場合がありそうな気もします。

…いや、現在の法律がそうなってないってことは、こういう状況で債務者の弱みに付け込んで暴利で貸して、さらに破綻させて身ぐるみ剥がしちゃう債権者がたくさんいたわけなのでしょうね。それに、xx %(←法を無視した暴利)で借りざるをえない債務者なんて割とすぐダメになってしまうのだろうし、いたずらに債権額だけ膨らんでよろしくない、ということもあるかもしれませんねぇ^^;

 

 いろいろ考えてみましたが、お金を持っている方がやっぱり立場が強いので、債権者に厳しく、債務者を保護する、という方向性になるのは当然という感じがします。要はバランスの取り方ってことなんでしょうね。