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法律初学者のおっちゃんが合格するまでやりますよー

緩いところときっちしりているところ

法律というと、きっちりと四角四面で融通が効かないもの、というイメージがありました。実際、会社法や民訴法関係は細かすぎる規定が多いしちょっとでも要件満たさないとダメだし、まさに融通が効かないってのはこのことだよなぁ…と思うときがあるのですが(笑)、でも中にはこんな緩いこともあるのかと思うルールもあります。ということで今回は、会社法商業登記法の緩いところときっちりしているところを見ていきましょう! ▼が緩いなーと思うこと、○がきっちりしているなーと思うことです。

 

▼取締役が重任するときって、前の任期の最後の定時株主総会の席上で次の任期の就任を承諾した~みたいな話になりますよね。厳密にいえば、前の任期と後の任期が重なっているから「重任」というのだそうです。一方、代表取締役の重任を時間の流れに沿って見てみると、まず株主総会で取締役の任期が終了すると同時に代表取締役としても退任し、その後に開かれる取締役会で代表取締役として選任されることになります。だからほんの数時間ですけど、代表取締役でなくなる時間帯があります。つまり前後の任期が重なることはないのですね。でも便宜上、株主総会と取締役会が同じ日に開かれて選任された場合は「重任」ということになっています。いつも思うんですけど、会社法商業登記法って実利的というか実際的というか、法的な厳密性よりは利便性を重んじている感じがしますよねぇ。商売する人や企業経営者なら、当然そういう考え方になるのでしょうし。

 

○同じ商業登記の話でも、すごくきっちりしてるなぁと思うところもあります。任期のことでいうと、執行役の任期は定時株主総会終結後に開かれる取締役会の終結時まで、となっていますね。これは代表取締役と同じく、執行役は取締役会で決めるからです。また、権利義務取締役である代表取締役が死亡した場合の変更登記は、取締役の辞任または任期満了の日と代表取締役の死亡の日は別になってますよね。株式会社が解散するとその職務を清算人という人がやるわけですが、①定款で定める者、②株主総会決議で選任された者、③取締役(①②がいない場合)、④利害関係人の申立てにより裁判所が選任した者(①②③がいない場合)の4パターンあり、登記の事由には①③だったら就任、②④だったら選任と書き分けます。細かいところまできっちり区別するのですよね。

 

▼ちなみに、上記の解散による清算人の就任登記に印鑑証明書の添付は不要とされています。普通の会社の役員変更では印鑑証明書が何通になるのかいちいち検討しなければいけないのに、清算人だったらラクでいいですね(笑) また代表清算人も、選定に係る議事録や就任承諾書への印鑑証明書の添付は不要です。それにしても、なぜ清算人や代表清算人は印鑑証明書がいらないのでしょう? もうなくなっちゃう会社のことだから別にいいや、てことなんですかねぇ…。

 

○監査等委員会設置会社となる定款変更をすると取締役の任期がいったん満了しますが、同じ人がまた取締役に選任される場合は重任の登記ができます。しかし、従前取締役であった人が監査等委員である取締役に選任された場合は重任することができず、退任の登記と就任の登記をしなければいけません。監査等委員会設置会社の定めを廃止するときも同じ話になります。監査等委員である取締役は監査役みたいなもので、普通の監査役とは役割が違うという説明をされますけど、それがこういうところにも表れているのですね。

 

▼募集設立によって設立される会社の株式について、ある株式会社が引き受けの申し込みをしたとします。 で、設立される会社の発起人と、株式を引き受ける株式会社の代表取締役が同一人物である場合、引き受ける会社について利益相反行為に当たります。だからこういうときは取締役会議事録などが必要になるのかと思ったら、何と必要ないのだそうですよ。不動産登記の方では会社と取締役が出てきたら条件反射的に利益相反?と思うくらい利益相反が問題になるのに、会社の設立のときはそうでもないんですね。まあ登記をするのは設立する方の会社だからってことですけど、微妙に不徹底な感じ^^;

 

○株式会社が定款に定めた存続期間の満了によって解散し、その直後に開かれた株主総会で会社の継続が決議された場合、直接会社継続の登記ができるわけではなく、その前提として解散および清算人の登記をしなければなりません。これ、別にしなくて良くない?と思うのですが、正確な登記をするべきという基本方針みたいなものがあるから、わざわざすることになるというわけでしょうか。

 

▼そうそう、不動産登記法を勉強した後に商業登記法をやり始めてかなり驚いたのが、住所や氏名の変更をする時にそれを証する書面が要求されないってことです(旧姓の併記だけは書面の添付が必要ですが)。たとえば本店を移転する場合、不動産登記では登記名義人の住所を変更するために履歴事項証明書を添付して…とかやりますよね。なのに商業登記では株主総会議事録や取締役会議事録は必要としても、移転先を直接証明する書面は要求されていません。それでいいのか?と不思議に思います。そういえば、登記識別情報を添付せずに登記申請をしたとき、3ヶ月以内に住所を変更していた場合は前の住所にも確認の通知が行くって話がありますよね。しかし登記名義人が法人だったら前住所の通知は不要とされていました。なぜなら、法人の住所変更は商業登記で厳格に審査されるから、とのことだったのですが…株主総会や取締役会の決議を得ることが“厳格”ということなんですかね。あまりピンとこない…^^;

 

登記事項の中身って、どれもきっちりやるのが本来の姿であるはずです。でも一見緩い感じがするものは、多分清算人関連以外は割とよくある登記だし多少便宜を図っても問題ないか…という感じなんですかね。なかなか複雑だけど面白いです(^^)